2025年の米国株市場で何が起きた?ショートセラーが巨額の売上を上げた理由

2025年の米国株市場では、大型ハイテク株を中心に大幅な売りが進んでおり、ショートセラー(空売り投資家)が大きな売上を上げています。特にテスラ(TSLA)エヌビディア(NVDA)に対する空売りが成功し、市場全体の注目を集めています。

テスラとエヌビディアの下落でショートセラーが大きな売上を記録

市場調査会社S3 Partnersのデータによると、2025年のこれまでの期間でショートセラーはエヌビディアとテスラの株式を空売りすることで、合計150億ドルの売上を記録しました。特にテスラに対する空売りの売上は110億ドルを超え、エヌビディアも40億ドル以上の売上を上げています。

テスラの株価は年初から40%下落しており、これは「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる主要ハイテク株の中でも最も大きな下げ幅となっています。投資家の間では、イーロン・マスクCEOが政府関連の政策に注力していることが、テスラの経営に悪影響を及ぼしているのではないかとの懸念が高まっています。さらに、マスク氏の政治的な発言が、一部の顧客の離反を招く可能性が指摘されています。

マグニフィセント・セブンの不調がS&P 500を下回る要因に

テスラだけでなく、アップル(AAPL)、アルファベット(GOOGL, GOOG)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン(AMZN)、メタ(META)といったマグニフィセント・セブンの銘柄も軒並み下落しています。この結果、マグニフィセント・セブンのパフォーマンスはS&P 500指数を大幅に下回っており、2022年以来最大のアンダーパフォーマンスとなっています。

ショートセラーはこれらの銘柄に対する空売りでも売上を伸ばしており、特にアップルに対する空売りの売上は50億ドル近くに達していると報告されています。アップルの株価は2025年に入ってから約14%下落しており、成長鈍化への懸念が広がっています。

成長期待の見直しとAI投資の疑問

これまで市場を牽引してきたハイテク株の下落は、投資家が成長期待を見直していることの表れです。特に、経済成長の鈍化懸念や、トランプ大統領の関税政策の影響が市場に重くのしかかっていることが指摘されています。

また、AI関連投資の膨張に対する投資家の疑問も影響を与えています。特にエヌビディアは、中国のディープシークが低価格のAIチップを発表したことを受け、大きな調整局面を迎えました。これにより、AI市場の競争が激化する中で、ハイテク企業の利益成長が想定ほど進まないのではないかとの懸念が高まっています。

株価調整後の市場の行方

現在、多くのハイテク株が52週高値から20%前後の調整局面に入っており、今後の投資家の動向が注目されています。これまで市場をリードしてきた銘柄に対する買い戻しが進むのか、それともさらなる調整が続くのかが焦点となっています。

BMOキャピタル・マーケッツのチーフ投資ストラテジストであるブライアン・ベルスキー氏は、「これらのハイテク株は一時的に先行しすぎたかもしれないが、米国株市場の成長を牽引する企業であることに変わりはない」と述べており、長期的には依然としてこれらの企業の成長性を評価する声もあります。

まとめ

2025年の米国株市場は、マグニフィセント・セブンを中心に大きな調整が進む展開となっています。特にテスラやエヌビディアの株価急落がショートセラーに大きな利益をもたらしており、短期的には空売りの売上が拡大する状況が続いています。一方で、ハイテク株の将来性を評価する声も根強く、市場の転換点がどこにあるのかが今後の焦点となります。

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