JPモルガン・チェース(JPM)が、ウェルズ・ファーゴ(WFC)のアナリストから強い支持を受けています。同社のマイク・メイヨ氏は、JPモルガン・チェースを銀行業界におけるエヌビディア(NVDA)になぞらえ、人工知能(AI)やテクノロジー分野でのリーダーシップを評価しました。
ウェルズ・ファーゴのレポートによると、メイヨ氏はJPモルガン・チェースの株に対し「オーバーウェイト」の評価を維持し、目標株価を300ドルと設定しました。これは現在の株価から約26%の上昇余地があることを示しています。同氏は、同社の業績予測に対して、他の銀行よりも確信を持っていると述べています。
JPモルガン・チェースの成長を支えるテクノロジー投資
JPモルガン・チェースの高評価の背景には、従業員の生産性向上、市場シェアの拡大、利益率の上昇といった要因があります。特に、同社が長年にわたり進めてきたテクノロジー投資が成果を生み出しつつあることがポイントです。
2025年のJPモルガン・チェースのテクノロジー予算は180億ドルとなっており、前年から10億ドル増加しました。これは銀行業界全体の支出レベルと一致し、総経費の約20%、売上の約10%を占めています。ただし、JPモルガン・チェースの投資額は他の銀行を大きく上回っており、特に製品、プラットフォーム、顧客体験への投資に重点を置いています。
メイヨ氏は「市場シェアの拡大を考えれば、この戦略は成功している」と指摘しています。実際、JPモルガン・チェースは新規支店での預金獲得において、2020年代に入ってから業界全体を上回る成果を上げています。この成長の一因として、AIが支店の立地選定(人口動態、顧客シナジー、交通量など)を支援していることが挙げられます。
人材増加とAIの活用による業務効率化
JPモルガン・チェースは、2024年12月時点でグローバルな従業員数を前年同期比7,307人増加させました。特にフロントオフィスとテクノロジー関連の人員を増やしたことが、業績向上の要因となっています。
同社は、AIを活用して業務プロセスを最適化し、コスト削減とサービス向上を同時に実現しようとしています。これにより、従来の銀行業務の枠を超えた競争力を持つことが可能になっています。
今後のテクノロジー投資の動向と投資家の期待
JPモルガン・チェースは、近年積極的に進めてきた近代化プロジェクトのピークを迎えたと明言しています。そのため、今後のテクノロジー投資のペースは減速する見込みです。これまでの10年間で年間平均15%の増加を続けてきましたが、2025年は6%の増加にとどまる見通しです。
同社の最高財務責任者(CFO)であるジェレミー・バーナム氏は、2月のカンファレンスで「テクノロジー分野では、予算の範囲内でやりくりするよう求めている」と述べました。これは、これまでの巨額投資の成果がより明確に現れることが求められる段階に入ったことを意味します。
JPモルガン・チェースの株価は2025年に入ってからわずかに上昇しているものの、大きな伸びを見せていません。投資家にとっては、これまでの投資がどれだけ収益に反映されるかが重要な焦点となっています。
まとめ
JPモルガン・チェースは、AIとテクノロジーを駆使し、銀行業界において圧倒的な競争力を誇る企業です。ウェルズ・ファーゴのアナリストは、同社の戦略が市場シェアの拡大につながっていると評価し、エヌビディアになぞらえました。
ただし、今後は投資の成果がより明確に示されることが期待されており、株価の動向にも影響を与える可能性があります。今後の決算や業績発表に注目が集まりそうです。