エヌビディア、GTC 2025の発表内容を詳しく解説 – AI市場の未来を占う

3月18日にカリフォルニア州サンノゼで開催されたエヌビディア(NVDA)の年次イベント「GTC 2025」は、AI業界において最も注目されるイベントの一つとなりました。ジェンスン・フアンCEOは、次世代AIチップ「ブラックウェル・ウルトラ」や、新しいパーソナルAIスーパーコンピュータの計画などを発表しました。

しかし、投資家の期待には応えきれなかったようで、株価は発表後に3%以上下落しました。本記事では、前回の記事の続報としてGTC 2025での主要な発表内容を詳しく解説し、AI市場の今後の展望について考察します。

ブラックウェル・ウルトラ – 次世代GPU、2025年後半に登場

エヌビディアは、次世代のグラフィックス処理ユニット(GPU)「ブラックウェル・ウルトラ」を2025年後半にリリースすると発表しました。この新型GPUは、現在のブラックウェル・アーキテクチャを強化し、より大容量のメモリを搭載することで、より大規模なAIモデルの処理を可能にします。

この発表は、エヌビディアがAI市場での競争力を維持するための重要な戦略の一つと考えられています。特に、AIモデルの規模が拡大する中で、処理能力の向上は不可欠です。

ヴェラ・ルービン – 2026年後半に登場する次世代コンピューティングシステム

エヌビディアは、「ヴェラ・ルービン」という新しいコンピューティングシステムを2026年後半に投入する計画を発表しました。このシステムは、同社のカスタムプロセッサ「ヴェラ」と組み合わせることで、現在のブラックウェル・ウルトラを超える性能を実現します。

ヴェラ・ルービンは、AIの学習速度と推論速度を向上させることを目的としており、より複雑なAIモデルをリアルタイムで処理する能力を備えています。このシステムは、AI開発の最前線に立つ企業や研究機関にとって、強力なツールとなるでしょう。

さらに、2027年には「ヴェラ・ルービン・ウルトラ」と呼ばれる進化版が登場する予定です。

ファインマン – 2028年に登場予定の次世代アーキテクチャ

ヴェラ・ルービンの後継として、エヌビディアは2028年に「ファインマン」アーキテクチャをリリースする計画です。この名前は、量子力学の発展に貢献した理論物理学者リチャード・ファインマンにちなんでおり、量子コンピューティングとの統合も視野に入れられている可能性があります。

AIの処理能力を飛躍的に向上させるこのアーキテクチャは、今後の技術革新の中心となることが期待されています。

DGXパーソナルAIコンピューター – AIモデルの推論を支援する新たな開発者向けPC

エヌビディアは、ブラックウェル・ウルトラを搭載した「DGX AIコンピューター」を発表しました。これは、ローカル環境で大規模なAIモデルの推論を実行できる開発者向けのデバイスです。

デル・テクノロジーズ(DELL)、レノボ、ヒューレット・パッカード(HP)などが製造を担当し、アップル(AAPL)のハイエンドMacシリーズに対抗する製品として注目されています。

Spectrum-X & Quantum-X – AIファクトリー向け次世代ネットワークチップ

AIデータセンター向けの新たなネットワークチップとして、「Spectrum-X」と「Quantum-X」が発表されました。シリコンフォトニクス技術を活用し、数百万台のGPUを効率的に接続できるようにすることで、AIモデルの大規模な学習環境を構築できます。

Quantum-Xは2025年内に、Spectrum-Xは2026年にリリース予定です。これにより、エネルギー消費を削減しながら、AIシステムのスケールを大幅に拡大することが可能になります。

Dynamo – AI推論を高速化する新ソフトウェア

エヌビディアは、「Dynamo」と呼ばれるAI推論高速化ソフトウェアを発表しました。このソフトウェアは、AIモデルが複数のステップを経て思考する「推論(Reasoning)」プロセスを効率化します。

Dynamoは無償で提供されるため、多くの開発者が利用しやすく、AIの応答精度を向上させるツールとして期待されています。

NVIDIA Isaac GR00T N1 – ヒューマノイドロボット向けの基盤モデル

ヒューマノイドロボット向けの新しい基盤モデル「GR00T N1」も発表されました。このモデルは、高速な思考と深い推論の両方を可能にする二重システムを備えており、ロボット開発の基盤となる技術として期待されています。

エヌビディアは、この開発にグーグル・ディープマインドやディズニー・リサーチと協力しており、オープンソースの物理エンジン「Newton」を活用しています。これにより、よりリアルなロボットシミュレーションが可能になります。

まとめ – エヌビディアの次なる挑戦

エヌビディアは、AI市場でのリーダーシップを維持するため、次世代技術を積極的に展開しています。次世代チップ「ブラックウェル・ウルトラ」や「ヴェラ・ルービン」、さらに2028年登場予定の「ファインマン」アーキテクチャまで、長期的なロードマップを明確に示しました。

しかし、投資家の不安は完全に払拭されたわけではありません。GTC 2025の発表後に株価が3%下落した背景には、競争の激化やクラウド企業のAI投資の持続性に対する懸念があります。

今後の焦点は、エヌビディアがAI市場の成長をどこまで牽引できるのか、そして競合他社がどのように追随するのかにあります。2026年以降のAI設備投資の動向や、クラウド企業のAI支出の持続性が鍵となるでしょう。

エヌビディアが引き続き市場をリードし続けるのか、それとも競争が激化する中でシェアを奪われるのか、今後の動向に注目が集まります。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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