バロンズ(Barron’s)が抜粋・編集した投資および調査機関のアナリストレポートを基に、注目銘柄の最新情報をお届けします。このレポートは、各企業に関する専門家の見解を示していますが、バロンズ自体の推奨意見ではありません。以下に取り上げられた銘柄の企業概要とレポートの要点をまとめました。
バーティカル・エアロスペース(EVTL)
企業概要
バーティカル・エアロスペースは、英国を拠点とする電動垂直離着陸機(eVTOL)メーカーです。業界で2番目に大きな受注残を抱え、欧州において唯一の主要なeVTOL企業として競争優位性を確立しています。また、破綻した競合企業の受注残を取り込む可能性があり、さらなる受注の増加が期待されています。
株価:3.39ドル(3月12日)
推奨:買い
目標株価:13.50ドル
レポート提供:Canaccord Genuity
投資レポート
バーティカル・エアロスペースは、今後の受注拡大により成長を継続すると見られます。特に、リリウムの破綻により、同社のビジネスジェットやラグジュアリーチャーター向けの顧客を獲得する可能性があり、確定受注の増加が見込まれます。さらに、2035年までにバッテリーのアフターサービス売上が約4億2000万ポンドに達する見込みで、長期的な成長を支える要因となります。ただし、資金調達が必要となる点は注意が必要です。
オプコ・ヘルス(OPK)
企業概要
オプコ・ヘルスは、米国を拠点とする医療検査およびバイオテクノロジー企業です。同社の子会社バイオリファレンス・ヘルスは、腫瘍学関連の臨床検査事業を展開しており、今回、その一部をラボコープに売却することで、経営効率の向上と収益性の改善を目指しています。
株価:1.80ドル(3月12日)
推奨:買い
目標株価:3.00ドル
レポート提供:H.C. Wainwright
投資レポート
ラボコープへの事業売却により、オプコ・ヘルスは財務の安定化と収益性向上が見込まれます。この売却で、最大2億2500万ドルの資金を獲得し、負債返済に充てる可能性もあります。経営陣は2025年後半の取引完了を見込んでおり、これが同社の成長戦略にプラスに働くと考えられます。ただし、2025年の業績ガイダンスについては現時点で正式な更新はありません。
スプリンクラー(CXM)
企業概要
スプリンクラーは、企業向けのカスタマー・エクスペリエンス管理(CXM)ソフトウェアを提供する米国のテクノロジー企業です。AIを活用したコンタクトセンター管理やソーシャルメディア分析など、企業の顧客対応を支援するプラットフォームを展開しています。
株価:8.08ドル(3月12日)
推奨:パフォーム
目標株価:なし
レポート提供:オッペンハイマー
投資レポート
スプリンクラーの2025年度第4四半期の決算では、オペレーティングマージンとフリーキャッシュフローマージンが市場予想を上回りました。新CEOのもとでコスト最適化と事業効率の向上が進められており、営業力の強化やコンタクトセンター向け技術への投資も評価されています。ただし、サブスクリプション売上の成長率は鈍化しており、IPO以来最も低い「現在の残存パフォーマンス義務(cRPO)」の成長率を記録したため、慎重な姿勢が求められます。
キュリオシティストリーム(CURI)
企業概要
キュリオシティストリームは、教育コンテンツやドキュメンタリーを配信する米国のストリーミングサービス企業です。同社は、科学・歴史・自然に特化した映像コンテンツを提供し、サブスクリプションベースのビジネスモデルを展開しています。
株価:2.58ドル(3月12日)
推奨:マーケット・パフォーム
目標株価:なし
レポート提供:バリントン・リサーチ
投資レポート
キュリオシティストリームは、収益性の向上を実現し、初のプラスフリーキャッシュフローを達成しました。配当も増額しており、今後の成長継続への自信がうかがえます。2025年の売上成長が期待される中、現在の財務基盤は非常に健全であり、現金3,800万ドルを保有し、負債はゼロとなっています。今後も安定した成長が見込まれるものの、業界競争の激化には注意が必要です。
テスラ(TSLA)
企業概要
テスラは、電気自動車(EV)およびエネルギー関連事業を展開する米国の大手企業です。EV販売のほか、ソーラーパネルや蓄電池の開発も手掛けており、持続可能エネルギー分野においても事業を拡大しています。
株価:230.58ドル(3月12日)
推奨:売り
目標株価:170ドル
レポート提供:グッゲンハイム
投資レポート
テスラの2025年第1四半期の納車台数は減少が見込まれ、利益率の低下も懸念されています。また、6月に予定されているロボタクシーの発表は、市場の期待を下回る可能性があり、競争が激化する中で株価の下落リスクが高まっています。特に、価格引き下げ余地がほとんど残されておらず、さらなる値下げがフリーキャッシュフローのマイナス化を招く可能性があるため、目標株価を170ドルに引き下げました。
シリコン・ラボラトリーズ(SLAB)
企業概要
シリコン・ラボラトリーズは、IoT向け半導体の開発・販売を行う米国の半導体企業です。スマートホーム、産業オートメーション、ワイヤレス通信などの分野に強みを持ち、エネルギー効率の高いチップセットを提供しています。
株価:123.80ドル(3月12日)
推奨:買い
目標株価:150ドル
レポート提供:ニーダム
投資レポート
シリコン・ラボラトリーズは、2025年の売上成長率を「20%以上」と予測しましたが、市場予想(前年比34~35%成長)と比較すると低く、一時株価が下落しました。しかし、経営陣は市場予測をおおむね支持しており、長期的な成長を期待できると見られます。現在の株価の下落は買いの好機と判断されています。
*過去記事「バロンズ厳選!2025年注目の米国株6選(3月7日)」