インテル(INTC)の株価が、2025年の半導体市場で驚異的な回復を見せています。フィラデルフィア半導体指数(SOX)の中で最も好調なパフォーマンスを記録し、昨年の低迷から一転、投資家の注目を集めています。
2024年の悪夢から一転、2025年の半導体市場でトップに
インテルの株価は今年に入り20%上昇しており、フィラデルフィア半導体指数(SOX)の構成銘柄の中で最も高い上昇率を記録しています。これは、2024年に同指数で最も低迷していた状況からの劇的な変化です。昨年、インテルの株価は60%も下落し、投資家からの信頼を失っていました。
しかし、今年に入ってからの急上昇により、S&P500(SPX)の中でも今週最も好調な銘柄となっています。週初めからの上昇率は16.52%に達し、特に3月12日以降はCEO交代の発表を受けて急騰しました。
新CEOにリップブー・タン氏を迎え、市場は歓迎ムード
12日の午後、インテルは元取締役であるリップ・ブー・タン氏が新しいCEOに就任すると発表しました。このニュースを受け、株価は約13%急騰しました。ウォール街のアナリストたちは、インテルの再建には困難が伴うと見ているものの、投資家の間ではタン氏の起用を好意的に評価する声が広がっています。
タン氏は、半導体業界で数十年にわたる豊富な経験を持ち、多くの公的・私的企業の経営に関わってきました。市場では、「インテルにとって最適なCEO」との声もあり、特に同社の顧客やパートナー、投資家の間で信頼が高まっています。
米国半導体製造の復活への期待
2月下旬、インテルの株価は急上昇しました。これは、アメリカ政府が半導体産業を強化するための政策を進める中で、インテルが国内製造の中核を担う可能性があるとの期待が高まったためです。しかし、その後、さまざまな企業との提携の噂が広まる中で、株価は乱高下しました。
インテルのライバル、エヌビディアとブロードコムは苦戦
一方で、エヌビディア(NVDA)やブロードコム(AVGO)の株価は軟調です。特に、人工知能(AI)向けコンピューティングのコスト削減が進む中で、投資家の間では警戒感が広がっています。今年に入り、エヌビディアの株価は9.4%下落し、ブロードコムも15.7%下落しました。
エヌビディアは、最新の「ブラックウェル」シリーズの投入に伴い、直近の決算で売上の減少を報告しました。これにより、同社の利益率が低下したことが、株価の下落要因となっています。
インテルの成長戦略と今後の見通し
市場では、インテルの次世代製造プロセス「18a」への期待が高まっています。2025年の時点では、同社の製造部門は依然として赤字が続くと予想されますが、新たな顧客を獲得することで、将来的には黒字転換を目指しています。
バーンスタイン・リサーチのアナリスト、ステイシー・ラスゴン氏は、「リップブー・タン氏の就任により、インテルは顧客や投資家からの信頼をすぐに得ることができる」と指摘しています。
インテルの株価は、14日の米国市場で1.48%高の24.05ドルとなり、引き続き市場の注目を集めています。今後の展開次第では、さらなる上昇が期待されるかもしれません。