量子コンピューター企業であるディーウェーブ・クオンタム(QBTS)の株価が、3月13日の米国市場で大幅に上昇しました。同社の2024年第4四半期決算が発表され、売上は市場予想を上回ったものの、損失が拡大したことが投資家の関心を集めました。
第4四半期決算の詳細
ディーウェーブ・クオンタムは、2024年12月期の第4四半期に1株当たり8セントの調整後損失を計上しました。これはアナリストの予想である6セントの損失よりも大きな赤字幅となりました。一方で、売上は230万ドルとなり、ウォール街の予想である220万ドルを上回りました。
通期売上は880万ドルとなり、前年とほぼ同じ水準でした。アナリスト予想とも一致しており、安定した売上を維持しました。さらに、予約は2,390万ドルとなり、2023年から1,340万ドル増加しました。
ディーウェーブ・クオンタムは、2024年度の顧客数が135社に達し、新たに政府機関や研究機関の顧客4社、フォーブス・グローバル2000に名を連ねる企業1社を獲得しました。
株価の動向
ディーウェーブ・クオンタムの株価は、13日の市場が入ってまもなくの10:25の時点で15.6%上昇し、6.73ドルを記録しました。
他の量子コンピューター関連企業の株価はまちまちの動きを見せました。
- リゲッティ・コンピューティング(RGTI)は2.6%下落
- クォンタム・コンピューティング(QUBT)は3.32%上昇
- イオンキュー (IONQ)は0.32%上昇
2025年第1四半期の見通し
ディーウェーブ・クオンタムは、量子コンピューター「D-Wave Advantage」の売上が「かなりの部分」を占めるとして、2025年第1四半期の売上が1,000万ドルを超えると予想しています。
アラン・バラッツ最高経営責任者(CEO)は、「当社の記録的な売上高とキャッシュポジションを背景に、企業が量子コンピューティングの恩恵を今すぐ享受できるよう支援するという使命に変わりはない」と述べています。
ディーウェーブ・クオンタムの技術力と「量子の覇権」
ディーウェーブ・クオンタムは、最新の「Advantage2」システムが、世界で最も強力なスーパーコンピューターの1つでは100万年近くかかる計算をわずか20分で解決できると主張しました。これにより、同社は「量子の覇権」を獲得したとしています。
しかし、計算量子物理学センターの研究者たちは、より強力な古典コンピューターが開発されていると指摘し、ディーウェーブ・クオンタムの調査結果に異議を唱えました。
バラッツCEOは、バロンズ誌に対し、「研究者たちは古典的なマシンで最も複雑な格子幾何学を試みたわけではない」と述べ、「量子系のシミュレーションの目的は、有用な情報を提供するために必要な幅広い構造と特性をシミュレートすることにある」と説明しました。
まとめ
ディーウェーブ・クオンタムの2024年第4四半期決算は、売上が市場予想を上回ったものの、損失が拡大しました。2025年第1四半期の売上見通しは1,000万ドルを超えるとされており、今後の成長に期待が集まっています。同社の「量子の覇権」に関する主張には異論もあるものの、量子コンピューター市場における技術革新をリードしていることは確かです。
投資家は、ディーウェーブ・クオンタムの今後の動向とともに、量子コンピューター業界全体の成長を注視していく必要があります。