【米国株市場の最新動向】マーケットウォッチが報じる関税問題と市場の調整

  • 2025年3月12日
  • 2025年3月12日
  • BS余話

米国株式市場は、ドナルド・トランプ大統領の関税政策に対する懸念が高まり、不安定な状況が続いています。マーケットウォッチ(MarketWatch)が最新の記事でこの市場の動きを詳しく分析しています。本記事では、その内容を紹介しながら、今後の投資戦略について考察していきます。

米国株式市場は関税問題で不安定な展開に

マーケットウォッチによると、S&P500種株価指数(SPX)は、最近のピークから約10%下落し、調整領域に接近しているとのことです。この背景には、トランプ大統領が推し進める関税政策が影響しています。

モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントの米国株シニア・ポートフォリオ・マネジャーであるアンドリュー・スライモン氏は、マーケットウォッチの取材に対し「投資家は関税のネガティブな側面を意識しているようだが、関税がインフレを引き起こしたり、景気を悪化させたりするとは考えていない」と述べています。

S&P500は調整領域に突入するのか?

S&P500種株価指数は3月11日の米国市場で0.8%下落し、5,572.07で取引を終えました。ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによれば、指数が直近のピークから10%下落すると5,529.74まで下落する可能性があると指摘されています。

また、関税問題が市場のボラティリティを高めており、投資家の間で不安が広がっています。特に、貿易戦争が深刻化し、経済成長が鈍化するリスクが懸念されています。

米国とカナダの関税問題が市場に影響

トランプ大統領は、カナダから輸入される鉄鋼とアルミニウムに対して25%の追加関税を課すことを発表しました。これは、カナダのオンタリオ州が米国からの電力輸入に25%の関税を課すと発表したことに対抗する措置でした。

しかし、その後、カナダ側が電力関税を撤回したことを受け、トランプ大統領もカナダの金属に対する関税を50%に引き上げる計画を撤回しました。この一連の動きが市場に不安定要因をもたらしていると報じられています。

市場は「相互関税」の発効に警戒

マーケットウォッチの記事では、4月2日に発効するとされている「相互関税」についても言及しています。スライモン氏は、「この日を前に米国株が大きく上昇することは難しいかもしれない」とし、関税問題が市場のムードをネガティブにしていると指摘しています。

一方で、スライモン氏は「市場の下落は良い投資機会を生む可能性がある」と述べ、短期的な政治的要因に惑わされず、ファンダメンタルズを重視することが重要だと強調しています。

S&P500の2025年の見通し

マーケットウォッチは、S&P500種株価指数は2023年に24.2%、2024年に23.3%上昇しましたが、2025年は市場が不安定な動きを続ける中で、一桁台のリターンにとどまる可能性があると指摘しています。

セブンス・レポートの創設者であるトム・エッセイ氏は、「政策による成長鈍化の懸念がなければ、市場はボラティリティに耐えられる投資家にとって魅力的な水準にある」と述べています。

また、Cboeボラティリティ指数(VIX)は今年に入って55%上昇し、11日には27近くまで上昇したとのことです。スライモン氏は、「市場の変動は非常に大きくなっている」と指摘しています。

ハイテク株と半導体株の下落が投資チャンスに?

マーケットウォッチの記事では、ハイテク株と半導体株が特に大きな打撃を受けていることが報じられています。スライモン氏は、「半導体株の一部は3週間前よりも現在の方が魅力的だ」と述べています。

例えば、人工知能(AI)チップメーカーのエヌビディア(NVDA)は、2025年に入ってから19%下落しました。また、iシェアーズ・セミコンダクターETF(SOXX)は年初から約11%下落しています。

さらに、ラウンドヒル・マグニフィセント・セブンETF(MAGS)は、エヌビディア、アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、テスラ(TSLA)、メタ・プラットフォームズ(META)といった大手ハイテク株で構成されていますが、年初来で14.5%急落していると報じられています。

FRBの利下げ観測と市場の動向

CMEのFedWatchツールによると、連邦資金先物市場のトレーダーは、2025年に米連邦準備制度理事会(FRB)が3回の利下げを実施する可能性があると見ています。スライモン氏は、「米国が景気後退に陥るとは予想していない」とし、「FRBはトランプ政権の財政政策の影響を和らげる役割を果たす可能性がある」と述べています。

10日にはS&P500種株価指数が2.7%下落しました。DataTrek Researchの共同創設者であるニコラス・コラス氏は、「これは全面的な売りシグナルではないが、単なる通常の市場変動と片付けるべきではない」と記事の中で指摘しています。

まとめ

マーケットウォッチが報じた米国株市場の動向を紹介しました。関税問題の影響で市場の不安定さが増しており、S&P500は調整領域に接近しています。しかし、一部の専門家は、この下落が投資機会を生む可能性があると考えています。

特に、大手ハイテク株や半導体株は魅力的な水準にあるとの見方があり、FRBの利下げ期待が市場の下支えになる可能性も指摘されています。

短期的な市場の変動に振り回されず、長期的な視点でファンダメンタルズを重視した投資戦略を取ることが重要です。

(参考記事:MarketWatch「S&P 500 gets closer to correction territory Tuesday as investors grapple with Trump tariff fears.」)

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