オラクル(ORCL)の株価は、3月10日の時間外取引で当初の上昇を打ち消し、最終的に3.2%下落しました。第3四半期の決算発表直後は5%以上の上昇を見せましたが、クラウド事業の売上が市場予想に届かなかったことが投資家の懸念を招きました。
第3四半期決算 – 市場予想を下回る売上
オラクルの第3四半期の総売上は141億3,000万ドルで、前年同期比6%の増加となりました。しかし、アナリストのコンセンサス予想である143億8,000万ドルには届きませんでした。特にクラウドサービスとサポート事業の売上は110億ドルとなり、前年同期比で10%増加しましたが、こちらも市場予想の112億ドルには及びませんでした。
オラクルの最高経営責任者(CEO)であるサフラ・キャッツ氏は、前年に広告事業から撤退したことが今期のクラウド売上成長率を2%押し下げたと説明しています。また、今後の売上増加につながる契約についても強調しました。
オラクルの大型契約 – 今後の成長に期待
オラクルは第3四半期に480億ドル以上の契約を締結しました。契約先には、OpenAI、xAI、メタ・プラットフォームズ(META)、エヌビディア(NVDA)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などの大手テクノロジー企業が含まれています。
キャッツ氏によると、オラクルの契約残高は1,300億ドルに達しており、これが2026年度の売上成長率を15%押し上げる見込みです。オラクルでは、この契約残高を「残存履行義務(RPO)」と呼び、今後の収益成長の確実な指標として捉えています。
「プロジェクト・スターゲート」とオラクルの優位性
2025年初頭、オラクルはOpenAIがテキサス州に建設を計画している大規模データセンター「プロジェクト・スターゲート」の主要クラウドプロバイダーの一社として関与することが報じられました。このプロジェクトの総投資額は5,000億ドルとされ、オラクルのシェアがどれほどになるのかは未だ明確ではありません。しかし、キャッツ氏は、この契約は1,300億ドルの契約残高には含まれていないと述べ、「需要は極めて大きい」との見解を示しました。
また、共同創業者であり最高技術責任者(CTO)であるラリー・エリソン氏は、オラクルがこのプロジェクトの主要クラウドプロバイダーとして選ばれた理由について、「オラクルの技術は競合他社よりも高速で、コスト効率が良いため」と説明しました。
オラクルの利益は22%増 – しかし市場予想には届かず
オラクルの純利益は29億ドルとなり、前年同期の24億ドルから22%増加しました。GAAPベースの1株当たり利益(EPS)は1.05ドルで、前年の0.87ドルから増加したものの、アナリスト予想の1.06ドルにはわずかに届きませんでした。
2024年の上昇後、2025年は株価が低迷
2024年には人工知能(AI)関連の成長期待からオラクルの株価は大幅に上昇しましたが、2025年に入ってからは約10%の下落となっています。クラウド事業の成長が予想を下回ったことで、投資家の期待が調整される形となりました。しかし、今後の大型契約の実現により、中長期的な成長が見込まれる点には注目が必要です。
今後のオラクル株の見通し
短期的にはクラウド事業の売上成長率の鈍化が株価の重しとなる可能性がありますが、大型契約の積み上げや、プロジェクト・スターゲートを含むAIインフラ市場での優位性が長期的な成長のドライバーとなりそうです。特に、2026年に向けた15%の売上成長予測が実現するかが今後の株価の鍵となります。
投資家にとっては、短期の変動に振り回されるのではなく、中長期的な視点でオラクルの成長戦略を見極めることが重要です。