最近の株式市場は不安定な動きを見せています。経済指標の弱さや貿易戦争への懸念が広がる中で、市場全体のムードが悪化し、主要指数の下落が続いています。米国の著名な投資情報メディア、バロンズ(Barron’s)は、最新の記事でこの市場環境について詳しく解説しています。本記事では、バロンズの記事をもとに、現在の市場の状況と投資戦略について紹介します。
S&P500やナスダックが下落、ハイテク株の調整が進む
バロンズの記事によると、米国株式市場は3月に入ってから大きく値を下げています。S&P500(SPX)は3月11日の米国市場で2.7%下落し、今年の市場をけん引してきたハイテク株も調整局面に入りました。特に、ナスダック総合指数(COMP)は昨年12月の高値から約13%下落し、投資家のリスク回避姿勢が強まっていることを示しています。
「恐怖指数」VIXが急上昇、投資のタイミングは?
市場のボラティリティを示すCboeボラティリティ指数(VIX)も急上昇しています。VIXは1月から2月にかけて19.5付近の長期平均を下回る水準で推移していましたが、現在は27.1に達しており、投資家の警戒感が高まっていることがわかります。
バロンズは市場調査会社DataTrekの見解を紹介しており、VIXが一定水準に達すると買いのチャンスとなる可能性があると述べています。ただし、まだその段階には達していないと指摘しています。DataTrekの共同創業者であるニコラス・コラス氏によると、VIXの重要な水準として「27.3」と「35.1」が挙げられます。
- 27.3に達すると、市場の成長に対する懸念が高まるが、「一般的な調整」の範囲内
- 35.1に達すると、市場が完全にパニック状態になり、大規模な政策変更が必要となる
現在のVIX水準を考えると、まだ本格的な買い場にはなっていないとの見方が強いようです。
投資家の不安は過剰か?
バロンズの記事では、市場の不安が過剰になっている可能性についても触れています。リサーチ会社22Vリサーチのデニス・デブッシャー氏は、市場は経済の変化を先取りして織り込む傾向があるが、誤った判断をすることもあると指摘しています。また、市場は景気減速の可能性を高く見積もっているが、実際の経済指標にはまだ明確な減速の兆候は見られないとも述べています。
さらに、ヤルデニ・リサーチも同様の見解を示しており、経済の基盤は依然として堅調としながらも、トランプ政権の関税政策や政権交代による影響で経済の見通しが不透明になっているとコメントしています。同社は景気後退の確率をこれまでの20%から35%に引き上げたものの、慎重ながらも米国経済はまだ持ちこたえるとの見方を示しています。
これからの投資戦略
現在の市場環境では、不安定な値動きが続く可能性が高そうです。バロンズの記事では、VIXが35.1に達した場合にはパニック状態となり、本格的な買い場が訪れる可能性を指摘しています。しかし、現在の水準では市場の動きを冷静に見極める段階であり、焦って買いに走るのは時期尚早という見方が現在の市場では強いようです。
(参考記事:Barron’s「The Stock Market Selloff Looks Scary. Watch This Sign for the Time to Buy.」)