2025年のハイテク株市場は、予想以上に厳しいスタートを迎えました。ナスダック総合指数(COMP)は年初から5.8%下落し、ラウンドヒルのマグニフィセント・セブン上場投資信託(MAGS)は、エヌビディア(NVDA)とテスラ(TSLA)の急落に引きずられ、11%の下落となっています。このような状況の中でも、ハイテク株の中には市場全体の下落に巻き込まれにくい銘柄もあると考えられています。
トリバリエイト・リサーチのアナリストは、低ベータでポジティブ・スキューを持つ銘柄をいくつか特定しました。これらの銘柄はボラティリティが低く、市場全体との相関性が低い傾向があるため、相場が下落しても上昇する可能性があると分析されています。
市場の下落に耐えうるハイテク株とは?
トリバリエイト・リサーチが選んだ低ベータ/ポジティブ・スキュー銘柄には、以下の企業が含まれています。
- インターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)
- モトローラ・ソリューションズ(MSI)
- コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ(CTSH)
- チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ(CHKP)
- アムドックス(DOX)
これらの銘柄はボラティリティが低いため、リスクを抑えながら投資をしたいと考える投資家にとって魅力的な選択肢となります。
2025年に好調な銘柄の動向
この戦略は2025年の市場環境でも有効に機能しているようです。IBMの株価は2025年に15%以上上昇し、過去最高値に近づいています。この背景には、同社の人工知能技術「ワトソンX」の成長期待が影響していると考えられます。
また、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ、アムドックスもハイテク業界全体の下落トレンドに逆らい、株価が上昇しています。特にチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは、直近の取引で史上最高値を更新しました。
一方で、モトローラ・ソリューションズは約10%の下落となっています。しかし、ウォール街のアナリストの多くは同社に強気の評価を付けています。現在、同社株を担当する14人のアナリストのうち11人が「買い」または「アウトパフォーム」と評価しており、目標株価のコンセンサスは522ドル以上となっており、これは現在の水準より約23%高い水準となっています。
メガキャップのハイテク株からの分散投資の必要性
一部の専門家は、現在の市場環境ではメガキャップのハイテク株から少し距離を置くことが賢明だと考えています。ニューバーガー・バーマン・プライベート・ウェルスのシャノン・サコシア最高投資責任者(CIO)は、バリュエーションの高さを懸念し、メガキャップ株への過度な依存を避けるよう投資家に助言しています。
その一方で同氏は、売上成長を続けており、「モメンタム・トレードに巻き込まれていない」中堅規模のハイテク株には、今後の成長余地があると指摘しています。
U.S.バンク・アセット・マネジメントのチーフ・インベストメント・オフィサーであるエリック・フリードマン氏も、ハイテク株全体を避けるのではなく、特にソフトウェア企業に注目すべきだと述べています。ソフトウェア企業はAI技術を活用した新機能を展開しており、また、ディープシークやその他の中国企業との競争から生まれるより安価な技術の恩恵を受ける可能性があると考えられます。特に、半導体市場と比較すると、ソフトウェア企業の方が販売価格低下の恩恵を受けやすいと指摘されています。
高リスクのハイテク株に注意
市場が不安定な状況では、ボラティリティの高い銘柄への投資は慎重に行う必要があります。トリバリエイト・リサーチの調査では、以下の銘柄が現在リスクが高いとされています。
- ショッピファイ(SHOP)
- マイクロストラテジー(MSTR)
- ワークデイ(WDAY)
- ズーム・コミュニケーションズ(ZM)
- インテル(INTC)
- サウンドハウンドAI(SOUN)
これらの企業は、市場の調整局面では予想以上に下落する可能性があるため、慎重な判断が求められます。
まとめ
2025年のハイテク株市場は、年初から厳しい展開が続いています。しかし、市場全体の下落に左右されにくい低ベータ/ポジティブ・スキュー銘柄に注目することで、リスクを抑えた投資が可能です。特に、IBMやチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズなどの企業は、安定した成長を続けています。
一方で、メガキャップのハイテク株に偏った投資から分散を図ることが重要とされており、ソフトウェア企業への注目が高まっています。しかし、高ベータのハイテク株には注意が必要であり、特にショッピファイやマイクロストラテジーなどの銘柄は、リスク管理を十分に行いながら投資することが求められます。