最近、ストリーミング配信のパイオニアであるネットフリックス(NFLX)の株価が大きく下落しました。同社の株価は、過去5日間の取引で約9%の下落を記録しており、ウォール街ではその理由について意見が分かれています。
ネットフリックスのCFO発言が株価下落の要因か
ニーダムのアナリストであるローラ・マーティン氏は、ネットフリックスの最高財務責任者(CFO)であるスペンサー・ノイマン氏が投資家会議で行った発言が、株価下落の要因の一つになった可能性があると指摘しています。同氏は、ネットフリックスが引き続きライブイベントを制作するものの、高額なシーズン契約のスポーツパッケージには入札しない方針であることを明らかにしました。この発言は、米国における加入者数の伸びが予想を下回っていることを示唆しているかもしれません。
ネットフリックスはスポーツ放映権を必要としない強み
一方で、投資家の中にはこの下落を買いのチャンスと捉える人もいます。スポーツ番組の放映権は依然として高額であり、ウォルト・ディズニー(DIS)のような伝統的なプレイヤーは、ESPNのようなスポーツ放送事業から手を引く動きを見せています。そのため、ネットフリックスはプロスポーツに依存せず、独自のブランド力で成長を続けられるという見方もあります。
加入者数の伸びが鈍化する可能性
モフェット・ナサンソン・リサーチのアナリストであるロバート・フィッシュマン氏は、ネットフリックスのパスワード共有取り締まりと、広告付きストリーミングプランによる加入者増加がピークを迎えつつある可能性を指摘しています。同氏は、「加入者数はあとどれくらい伸びるのか?」と問いかけており、短期的にはコンテンツと広告層によってさらなる成長が見込めるものの、パスワード共有対策による恩恵は今後鈍化すると予想しています。
ネットフリックスの株価下落は高バリュエーション銘柄の調整か
一部のアナリストは、ネットフリックスの株価下落を、2025年のハイテク株全体の調整の一環と見ています。モーニングスターのアナリストであるマシュー・ドルギン氏は、「バリュエーションが高騰している銘柄の動きを考えると、ネットフリックスの下落は特別なことではない」と述べています。さらに、音楽ストリーミング大手のスポティファイ(SPOT)も同様に高い評価を受けていましたが、3月6日には7.4%の下落を記録しました。
インターネット企業全体の株価下落が続く
2025年のハイテクセクターの下落を回避していた一部のインターネット企業6社も、6日には平均7.1%の下落を記録し、7日も下落しました。オッペンハイマーのアナリストであるジェイソン・ヘルフスタイン氏は、この動きが単なるネットフリックスの問題ではなく、業界全体の調整局面であることを示していると指摘しています。
それでもネットフリックスの株価は過去1年で大幅上昇
このような株価の急落があるものの、ネットフリックスの株価は過去1年で46%上昇しています。短期的な調整は見られるものの、ストリーミング業界全体の成長や、新たな収益モデルの展開次第では、今後も安定した業績を維持する可能性があります。
現在のネットフリックスの動向は、ストリーミング業界全体の今後を占う重要な指標となりそうです。引き続き、投資家は同社の加入者数の推移や、新たな戦略の展開に注目する必要があります。
*過去記事はこちら ネットフリックス NFLX