トランプ大統領、CHIPS法への批判を強める – 半導体業界への影響は?

  • 2025年3月6日
  • 2025年3月6日
  • TSMC

トランプ大統領は、3月4日の議会演説でCHIPS法(CHIPS and Science Act)への強い批判を展開しました。これにより、半導体業界の今後の方向性や、米国企業の役割についての疑問が浮上しています。

TSMCの米国投資計画とCHIPS法の関係

トランプ大統領は、TSMC(TSM)との新たな合意についても言及しました。TSMCは米国に1000億ドルの追加投資を行い、新たな工場を建設することを約束しました。この投資額は、2024年11月に発表されたCHIPS法による66億ドルの支援とは無関係に決められたものです。

この発表により、TSMCが米国の半導体生産拡大を主導する可能性が一層高まっています。しかし、CHIPS法を巡る不透明感が増す中、インテル(INTC)の今後の立場については懸念の声が上がっています。

インテルの将来とTSMCによる買収の可能性

インテルはここ数週間、株価が大きく変動しており、その背景にはTSMCがインテルの製造工場の一部または全体を管理する可能性が取り沙汰されていたことが挙げられます。

ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、インテルの暫定会長であるフランク・イヤリー氏が、トランプ政権の関係者と会談し、インテルの将来について懸念を示したとされています。TSMCがインテルの製造工場の一部をコンソーシアムの形で管理する案が検討されていたと伝えられていますが、これは事実上、インテルの分割につながる可能性もあります。

しかし、半導体アナリストの間では、TSMCとインテルの提携には否定的な見方が強く、「この話はうまくいかない」との意見が大勢を占めています。また、インテルの次世代製造プロセス「18A」が良好な結果を示していることから、資金不足に陥ることはないとの見解もあります。

CHIPS法の行方と米国半導体産業への影響

CHIPS法は、米国国内での半導体製造を促進する目的で制定されました。しかし、トランプ大統領の発言により、その今後が不透明になっています。CHIPS法の撤廃には議会の承認が必要ですが、商務省の関連部署で約3分の1のスタッフが解雇されたことから、すでに影響が出始めていると考えられます。

民主党のチャック・シューマー上院少数党院内総務は、「この半導体投資と雇用創出の流れを阻止する動きには議会の支持は得られない」との声明を発表しました。一方で、アナリストの間では、バイデン政権の末期に決定された新規の資金提供が実施されない可能性が高いとの見方が広がっています。

2024年末には、TSMCが66億ドル、サムスン電子が47.5億ドル、テキサス・インスツルメンツ(TXN)が16.1億ドル、マイクロン・テクノロジー(MU)が64億ドルの補助金を受けることが決まっていました。しかし、これらの支援の一部が撤回される可能性が指摘されています。

半導体企業の対応と今後の展望

一部の専門家は、CHIPS法の影響はある程度限定的であり、企業自身の資本投資が依然として主な原動力となると指摘しています。バーンスタイン・リサーチのアナリストであるステイシー・ラスゴン氏は、「CHIPS法の税額控除の方が補助金よりも重要であり、企業の長期的な成長にとってはそれほど大きな影響はない」との見解を示しています。

一方で、新政権のもとでCHIPS法の資金配分が見直される可能性があるため、企業にとっては新たな不確実性が生じることになります。特に、インテルのような米国内の製造能力を維持しようとする企業にとっては、大きな課題となる可能性があります。

まとめ

トランプ大統領の発言により、CHIPS法の今後に不透明感が増し、半導体業界には大きな影響が及ぶ可能性があります。TSMCをはじめとする海外企業の投資は続く一方で、インテルのような米国企業が今後どのように対応していくのかが注目されています。議会の動向や、税額控除の維持など、政策の変化が業界全体に与える影響を慎重に見極める必要があります。

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