2025年の株式市場は、不安定な動きが続いています。関税や金利動向に対する懸念が高まる中、安定した配当成長を続ける銘柄は投資家のポートフォリオを守る重要な役割を果たしています。
米国の投資情報誌「バロンズ（Barron’s）」は、3月6日に公開された記事「These 8 Dividend Aristocrats Can Protect Your Portfolio in a Downturn」において、配当貴族銘柄の重要性を強調しています。 本記事では、その内容を紹介しつつ、配当成長株の魅力について解説します。
配当貴族銘柄は市場の下落局面で強さを発揮する
バロンズの記事によると、BMOキャピタル・マーケッツのチーフ・インベストメント・ストラテジストであるブライアン・ベルスキ氏は、「配当成長株は市場の不安が高まる局面で有効に機能する」と述べています。 また、2025年はこれまで市場を牽引してきた一部の大型ハイテク株（「マグニフィセント・セブン」）以外の銘柄に市場の注目が広がる年になる可能性があるとも指摘しています。
市場のボラティリティが高まる中で、S&P500の配当貴族指数（S&P 500 Dividend Aristocrats）は、年初から3月3日までのリターンが配当込みで約4%を記録し、S&P500指数のパフォーマンスを上回っています。 これは、配当貴族銘柄が経済の変動に強いことを示しています。
バロンズが選ぶ8つの注目すべき配当貴族銘柄
バロンズの記事では、特に注目すべき8つの配当貴族銘柄が紹介されています。
| 企業名 / ティッカー | 1年リターン | 3年リターン（年率） | 配当利回り | 直近の配当増額率 |
|---|---|---|---|---|
| キャタピラー（CAT） | -2.1% | 20.9% | 1.7% | 8% |
| CSX（CSX） | -17.5% | -4.6% | 1.7% | 8% |
| ダナハー（DHR） | -19.3% | -4.8% | 0.6% | 19% |
| マラソン・ペトロリアム（MPC） | -16.2% | 20.2% | 2.6% | 10% |
| マクドナルド（MCD） | 7.7% | 11.6% | 2.3% | 6% |
| ストライカー（SYK） | 10.6% | 14.7% | 0.9% | 5% |
| TJXカンパニーズ（TJX） | 26.0% | 26.8% | 1.2% | 13% |
| トラクター・サプライ（TSCO） | 10.5% | 9.4% | 1.7% | 5% |
これらの企業は、長年にわたり安定した配当成長を実現し、厳しい市場環境下でも投資家にリターンを提供してきました。
配当成長株の選定基準とは？
バロンズの記事によると、配当成長株を選ぶ際には、企業のフリーキャッシュフロー（FCF）が配当支払いを十分に賄えるかどうか が重要な指標の一つとなります。
ベルスキ氏の分析によると、以下の基準を満たす企業は市場全体よりも優れたパフォーマンスを示す傾向があります。
- フリーキャッシュフローヨールドが配当利回りを上回る（配当支払いが持続可能であることを示す）
- 過去5年間に配当を減配していない
- 1年あたりの配当成長率がS&P500の平均を上回る
- 現在の配当利回りがS&P500の平均を超えている
- 配当性向（利益に対する配当の割合）がS&P500の平均を下回っている
このスクリーニング基準を満たす銘柄は、1990年以来、年率16.5%のリターンを記録しており、S&P500の約11%を上回るパフォーマンスを示しています。
2025年の投資環境と配当成長株の重要性
2025年は、ここ数年のような強気相場ではなく、より変動の多い年になる可能性があります。市場が調整局面に入る中で、安定的に配当を成長させる銘柄は投資家にとってリスクヘッジの役割を果たすと考えられます。
特に、金利環境の変動が株式市場に影響を与える可能性があるため、フリーキャッシュフローの強い企業への投資が重要になります。 10年米国債の利回りが4.2%前後で推移する中、金利の変動が株式市場に与える影響を考慮する必要があります。
まとめ：長期的に安定したリターンを目指すなら配当貴族銘柄に注目
バロンズの記事は、市場のボラティリティが高まる中で配当貴族銘柄の重要性を示しています。
キャタピラー（CAT）、CSX（CSX）、マクドナルド（MCD）、TJXカンパニーズ（TJX）などの配当貴族銘柄は、長期的に安定したリターンを提供する可能性が高いと見られています。 また、バロンズが提示したスクリーニング基準を活用することで、持続的な配当成長を実現する企業を見極めることができます。
市場の不確実性が続く中で、安定的な配当収入を得るために、これらの企業への投資を検討してみてはいかがでしょうか？
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