人工知能(AI)業界への投資が加速する中、エヌビディア(NVDA)が支援するコアウィーブ(CoreWeave)が新規株式公開(IPO)を3月3日に申請し、アマゾン・ドット・コム(AMZN)が支援するアンソロピック(Anthropic)が非公開市場で評価額615億ドルに達しながら35億ドルを調達しました。これらの動きは、公的市場と民間市場の両方でAIへの関心が急上昇していることを示しています。
AI分野への資金流入が加速
フィンテック企業イールドストリートのマイケル・ワイズ最高経営責任者(CEO)は、「AIは現在、最も注目されている分野だ」と語っています。同社が運営する投資ネットワークには400社以上のプライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタル、グロース・エクイティ企業が参加しており、AIへの関心が非常に高い状況です。
「企業間でAIの導入競争が進行中だ。投資家はこの分野を注視し、有力企業を強力に支援しようとしている」とワイズ氏は述べました。現在、多くの企業は株式公開を選択する代わりに、非公開市場で巨額の資金を調達する道を選んでいます。
コアウィーブのIPOと事業成長
コアウィーブは、ナスダック市場で「CRWV」のティッカーシンボルで取引を開始する予定です。引受人にはモルガン・スタンレー、J.P.モルガン、ゴールドマン・サックス、バークレイズ、シティグループが名を連ねています。
本社をニュージャージー州リビングストンに構える同社は、AI向けのソフトウェアとクラウドサービスを提供する企業です。2024年の売上は19億ドルに達し、32のデータセンターを運営しながら、前年同期比で737%の売上増加を記録しました。
エヌビディアはコアウィーブの株式約6%を保有し、同社のデータセンターにチップを供給しています。また、Magnetar Financial LLCが34.5%、Fidelity Institutional Asset Managementが約7.6%の株式を保有しています。
アンソロピックの資金調達とAI技術の発展
一方で、アンソロピックは最新の資金調達ラウンドで35億ドルを獲得しました。同社にはLightspeed Venture Partners、Bessemer Venture Partners、Cisco Investments、D1 Capital Partners、Fidelity Management & Research Company、General Catalyst、Jane Street、Menlo Ventures、Salesforce Venturesなどの投資家が名を連ねています。
アンソロピックは、オープンAIのChatGPTに対抗する生成AI「Claude 2」を開発した企業です。今回の資金調達により、AIシステムの開発を加速し、そのメカニズムの理解を深めるとともに、国際展開を推進していく考えを示しています。
アマゾン・ドット・コムは1年前にアンソロピックへ40億ドルの投資を行っており、引き続き同社の成長を支援しています。
AI業界の投資環境と今後の展望
AI分野への投資は今後も拡大が予想されます。特に、コアウィーブのように安定した売上を生み出すデータセンター事業は、公開市場の投資家からも注目されています。一方で、アンソロピックのような最先端AI技術を開発する企業は、長期間非公開のまま成長を続ける傾向にあります。
ワイズ氏は、「上場企業の株主は厳しく評価を行うため、非公開企業でいることで経営の自由度が増す」と述べています。企業がIPOを選択するか、民間市場で資金調達を続けるかは、事業の特性や成長戦略に大きく左右されると考えられます。
今後もAI関連企業への資金流入は続き、この分野の発展がますます加速することが期待されます。