2025年の米国株市場:ヘッジファンドが狙う「買い」と「売り」の銘柄とは?

  • 2025年3月4日
  • 2025年3月4日
  • BS余話

2025年の市場は混乱が続いていますが、ヘッジファンドはウォルマート(WMT)、フィリップ・モリス・インターナショナル(PM)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)といったブルーチップ銘柄への投資を強める一方、クリーンエネルギー関連株の空売りを増やしています。特に、エンフェーズ・エナジー(ENPH)やアルベマール(ALB)は大きく売り込まれている状況です。

このデータは、バンク・オブ・アメリカ(BofA)証券が発表したヘッジファンドのショートポジションに関する最新の調査によるものです。BofA証券は、ショート・インタレスト(空売りの総額)が浮動株に占める割合をもとに、最も空売りされている銘柄とされていない銘柄をリスト化しました。

消費安定株が投資家の支持を集める

2025年の米国経済は依然として安定しているものの、消費者心理の低下が指摘されています。その中で、消費安定株への資金流入が続いており、コンシューマー・ステープルズ・セレクト・セクターSPDR(XLP)は年初来で5.7%上昇し、S&P500の1.2%を大きく上回る成績を収めています。

BofA証券の調査によると、ウォルマートは市場で最も空売りされていない銘柄となっており、ショート・インタレストはわずか0.45%にとどまりました。フィリップ・モリス、マスターカード(MA)、アマゾン、チャブ(CB)が続き、いずれも1%未満の空売り比率となっています。

ウォルマートの成長戦略と市場の評価

ウォルマートは「エブリデーロープライス」という戦略で知られ、消費者の景況感が不安定な時期にも強みを発揮します。同社の株価は今年に入り9.2%上昇しましたが、先月発表された第4四半期決算後には、予想を下回る見通しが嫌気され、一時6%以上下落しました。ただし、その後株価は持ち直しています。

CFRAのアナリスト、アルン・スンダラム氏は、ウォルマートの成長要因として急成長しているオンライン・マーケットプレイスを挙げています。これにより、利益率の改善が期待でき、米国小売市場でのシェア拡大が進むと述べています。また、「ウォルマートはこれまで低価格のイメージが強かったが、品質と利便性の面でも評価されるようになっている」と分析しています。スンダラム氏はウォルマート株を「買い」と評価し、目標株価を114ドルと設定しています。これは現在の株価98ドルから約16%の上昇余地があることを示唆しています。

*過去記事「ウォルマートの業績見通し下方修正で株価急落:投資家はどう動くべきか

ヘッジファンドが最も売り込んでいる銘柄

一方、ヘッジファンドが最も空売りしている銘柄は、太陽光発電関連のエンフェーズ・エナジーで、ショート・インタレストは16.7%を超えています。次いで、スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)、リチウム生産企業のアルベマールフォックス(FOX)、製薬会社のモデルナ(MRNA)が続いており、いずれも10%以上のショート・インタレストとなっています。

太陽光発電業界が苦戦しているのは、中国製の安価な技術の流入と、高金利環境が続いていることが要因です。特に、高金利によって消費者がソーラー設備の購入をローンで賄うことが難しくなっています。エンフェーズ・エナジーは、欧州市場での競争が依然として厳しく、米国市場の回復も遅れているため、成長軌道に戻るには時間がかかるとの見方が強まっています。

トゥルイストのアナリスト、ジョーダン・レヴィ氏は、エンフェーズ・エナジーの株価に対して「ホールド」の評価を維持しており、目標株価を65ドルに設定しています。これは現在の株価53ドルを約23%上回る水準です。

まとめ

2025年の市場では、ヘッジファンドが消費安定株への投資を強化する一方で、クリーンエネルギー関連株を積極的にショートする動きが見られます。ウォルマートなどの大手小売企業は、消費者心理が揺れる中でも安定した売上を維持できると考えられています。一方、エンフェーズ・エナジーのような再生可能エネルギー関連企業は、高金利環境や市場競争の激化によって、依然として厳しい状況に置かれています。

投資家にとっては、こうした市場のトレンドを踏まえた戦略が求められる状況です。

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