アクソン・エンタープライズ(AXON)は、テーザー銃やボディカメラを開発する法執行技術のリーディングカンパニーです。同社は2024年の第4四半期決算において、売上が前年同期比34%増の5億7,510万ドルとなり、市場予想を上回る好調な結果を記録しました。調整後の金利・税金・減価償却前利益(EBITDA)は56%増の1億4,200万ドルとなり、一般に公正妥当と認められた会計原則(GAAP)に基づく1株当たり利益も市場予想を上回る1.67ドルを達成しました。
このような好調な業績を背景に、同社の株価は急騰しています。米国の著名投資メディア「モトリーフール」では、アクソン・エンタープライズの株価上昇が続く3つの理由について詳しく分析しています。本記事では、モトリーフールの記事「3 Reasons to Buy Axon Enterprise Stock Now」をもとに、同社の成長の要因を解説します。
強固な予約パイプライン
モトリーフールによると、アクソン・エンタープライズの予約パイプラインは非常に強力です。ソフトウェア企業にとって、予約は将来の売上を予測する上で重要な指標となりますが、同社は2024年に年間50億ドル以上の予約を記録し、契約予約の総額は101億ドルに達しました。
この予約残高は現在の年間売上(21億ドル)の約5年分に相当し、長期的な売上の安定性を確保していることがわかります。さらに、同社のクラウド製品による経常売上は10億ドルに達しており、予約残高を考慮すると、約10年分の経常売上に相当します。
モトリーフールは、アクソン・エンタープライズのこの強固な予約パイプラインが、同社の今後の成長を強力に支える要因になると指摘しています。
法執行機関以外の市場にも進出
アクソン・エンタープライズは、米国の州や地域の法執行機関、連邦政府機関、国際的な法執行機関といった公的機関向けのビジネスで成長してきました。しかし、モトリーフールは、同社が民間企業にも製品を提供し、新たな市場を開拓している点に注目しています。
2024年には、企業顧客との間で過去最大の取引を記録しました。具体的な企業名は明かされていませんが、決算説明会では「世界的な物流業者」との契約があったことが報告されています。これは、フェデックスやUPSといった物流企業が、ドライバーの業務を記録し、安全管理を強化するためにボディカメラの導入を進めている可能性を示唆しています。
この動きは、ボディカメラが法執行機関だけでなく、警備会社、配送ドライバー、運送業従事者など、幅広い業界で活用される可能性があることを意味します。モトリーフールは、アクソン・エンタープライズが法執行機関以外の分野にも進出することで、新たな成長機会を得ている点を評価しています。
拡大し続ける市場
アクソン・エンタープライズの成長を支えるもう一つの要因として、モトリーフールは「市場の拡大」を挙げています。同社の使命は「生命を守ること」であり、そのミッションに基づいて新製品の開発を進めています。
例えば、同社はAI技術を活用した「ドラフトワン」という機能を導入しました。このツールは、ボディカメラの映像を自動で文字起こしし、警察の報告書作成を効率化することを目的としています。さらに、クラウドストレージやAI技術の進化により、今後も新たな製品が登場することが予想されます。
アクソン・エンタープライズは毎年、ターゲットとする市場規模(TAM)を算出しており、2025年時点では約1,290億ドルの市場機会があると見込んでいます。現在の市場浸透率は約2%に過ぎず、米国の州や地方自治体に限定してもわずか15%にとどまっています。これは、同社が今後も成長を続ける余地が十分にあることを示しています。
モトリーフールは、アクソン・エンタープライズが今後も新技術の開発や企業買収を通じて事業拡大を進めると予測し、成長の可能性が高い銘柄として評価しています。
まとめ
モトリーフールの記事では、アクソン・エンタープライズの成長が続く理由として、以下の3点が指摘されています。
- 強固な予約パイプライン:契約予約の総額は101億ドルに達し、将来的な売上の安定性を確保
- 法執行機関以外の市場開拓:物流業者や企業向けの新規取引が拡大
- 市場の拡大:ターゲット市場は約1,290億ドルに上り、成長余地が十分にある
アクソン・エンタープライズは、テーザー銃やボディカメラの分野で確固たる地位を築きながら、AI技術を活用した新製品の開発や企業市場への進出を進めています。今後の成長性が高く、長期投資の視点からも注目すべき銘柄と言えます。
*過去記事はこちら アクソン AXON