米国の有力投資メディア バロンズ(Barron’s) が、エヌビディア(NVDA)の最新決算と今後の成長戦略について詳しく分析した記事「Nvidia Is Firing on All Cylinders. Somehow the Stock Looks Cheap.」を公開しました。本記事では、バロンズの報道をもとに、エヌビディアの現在の状況と今後の見通しについて紹介します。
エヌビディアの決算は市場予想を上回る好結果
バロンズの記事によると、エヌビディアは 2025年1月末時点の四半期決算 で 前年比78%増の393億ドル という驚異的な売上を記録しました。これは市場の予想(381億ドル)を上回る結果です。
特に、AIチップの需要が拡大している データセンター部門 の成長が際立っており、売上は前年の 約2倍 に相当する 356億ドル に達しました。この結果を受けて、エヌビディアは 次の四半期の売上見通しを430億ドル と発表。市場予想(421億ドル)を超える強気のガイダンスとなっています。
エヌビディアとアップルの比較 – まだ割安?
バロンズの記事では、エヌビディアと アップル(AAPL) の成長率と評価額についても比較されています。
- アップルの最新四半期の売上成長率は 4%増 にとどまる
- 一方、エヌビディアは アップルの20倍のスピード で成長
- それにもかかわらず、エヌビディアの 株価収益率(PER)は27倍 であり、アップルの 32倍 よりも割安に見える
この比較を見ると、エヌビディアの成長性に対して、まだ株価の評価が完全に追いついていない可能性があると考えられます。
「ブラックウェル」の驚異的な立ち上がり – AIチップ市場を席巻
エヌビディアの 最新世代GPU「ブラックウェル」 は、発売後すぐに 110億ドルの売上 を記録し、同社の予想を上回る成功を収めました。
バロンズによると、エヌビディアのCEO ジェンスン・フアン氏 は「ブラックウェルの需要は驚くべきもの」とコメントし、その理由を AI推論(Inference)技術の進化 にあると説明しています。
推論AIとは、AIが質問に対してより高度な回答を出すために 多くの計算リソースを消費する技術 です。フアン氏は、「最新のAIモデルでは、従来のAIより 100倍以上の計算リソース が必要になっている」と述べており、これがエヌビディアのチップ需要をさらに押し上げている要因となっています。
さらに、エヌビディアの最高財務責任者(CFO)である コレット・クレス氏 は「ブラックウェルの推論性能は 従来の製品より30倍向上 しており、生産能力を超える需要がある」と強調。これにより、今後もエヌビディアの成長が継続すると考えられます。
次世代チップ「ブラックウェル・ウルトラ」と「ルービン」の登場
エヌビディアは、2025年後半に 次世代GPU「ブラックウェル・ウルトラ」 をリリースする予定です。バロンズの記事によると、ブラックウェル・ウルトラは 既存のアーキテクチャと互換性がある ため、企業にとって導入がスムーズになると期待されています。
さらに、エヌビディアは 次世代GPU「ルービン」 の開発も進めており、その詳細は 3月に開催されるGTC開発者会議 で発表される予定です。フアン氏はルービンについて「大きな飛躍を遂げる」と述べており、エヌビディアの技術革新が続くことを示唆しています。
米国の関税政策リスクとエヌビディアへの影響
エヌビディアの成長に対する 最大のリスク として、バロンズの記事では 米国の関税政策 に言及しています。具体的には、アメリカ政府が中国への追加関税やカナダ・メキシコへの関税を強化する可能性 があり、これがエヌビディアのサプライチェーンに影響を与える可能性があるとのことです。
クレス氏は「政府の関税政策は時期も規模も不確定要素が多い」と述べており、エヌビディアにとっては無視できないリスクであることがわかります。しかし、同社の技術的優位性を考えれば、長期的には成長を続ける可能性が高いとバロンズは指摘しています。
株価下落は買いのチャンスか? – バロンズの見解
エヌビディアの株価は、決算発表翌日の2月27日の市場で 8.5%下落 しました。しかし、バロンズの記事では、この下落は短期的な市場の反応にすぎず、むしろ投資家にとって絶好の買い場になる可能性がある と指摘されています。
エヌビディアのAI市場でのシェア拡大や、新世代チップの投入などを考慮すると、同社の成長は今後も継続する可能性が高いと思われます。したがって、短期的な株価の変動に惑わされず、長期的な視点での投資を検討することが重要 だとバロンズは強調しています。
まとめ – エヌビディアは今後も成長を続ける
バロンズの記事では、エヌビディアの 強固な決算、AI市場の拡大、次世代GPUの投入 など、同社の成長を裏付ける要因が多数紹介されています。
一方で、米国の関税政策 という不確定要素もあるため、慎重な投資判断が求められます。しかし、エヌビディアの技術的優位性や市場支配力を考えれば、今後も成長を続ける可能性は十分にあると考えられます。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA