エヌビディアの最新決算に対するウォール街アナリストの評価と目標株価

エヌビディア(NVDA)は2月26日の決算発表後、第1四半期の粗利益率見通しが市場予想を下回ったことで株価が若干下落しました。しかし、同社の成長性やAI市場での優位性に対するウォール街のアナリストの見方は大きく分かれています。本記事では、主要アナリストによる評価と目標株価をまとめました。

シティ(目標株価:163ドル、買いを再表明)

シティのアナリスト、アティフ・マリク氏は「買い」評価を継続しました。同氏は「ブラックウェルの売上が110億ドルと予想を上回り、推論の需要が加速している」と指摘しました。一方で、中国の半導体規制や関税問題が短期的な株価のレンジ相場を生む可能性があると警戒しています。しかし、EPS(1株当たり利益)の23倍というバリュエーションは長期投資家にとって魅力的であり、今がエントリー・ポイントとして適切であると評価しました。

HSBC(目標株価:175ドル、買いを再表明)

HSBCのライアン・メラー氏は「買い」評価を維持し、ブラックウェルの売上見通しを100億ドルから200億ドルに引き上げました。しかし、第1四半期の売上総利益率ガイダンスが市場予想を下回った点を指摘し、「市場を驚かせるほどの強さはなかった」とコメントしました。それでも、経営陣は2026年度末までに粗利益率が70%台半ばに回復すると見込んでおり、長期的な成長を確信しています。

D.A.ダビッドソン(目標株価:135ドル、中立を再表明)

D.A.ダビッドソンのギル・ルリア氏は「中立」評価を継続しました。同氏は「短期的な需要は依然として堅調だが、顧客がAIコンピュートへの投資対効果を精査し始めており、長期的にはエヌビディアの成長ペースが鈍化する可能性がある」と指摘しました。AI市場の拡大が続く中で、今後の競争環境や顧客の投資動向が鍵を握ると考えられます。

シュティフェル(目標株価:180ドル、買いを再表明)

シュティフェルのルーベン・ロイ氏は「買い」評価を再表明し、「第4四半期のブラックウェルの売上が約110億ドルと予想を上回った点はポジティブだ」と評価しました。同氏によると、データセンター部門の売上が前年同期比で93%増加しており、AI市場での成長は依然として力強いと見ています。また、ネットワーク部門の減収はブラックウェル・システムの立ち上げによる一時的な影響と考えており、下半期には成長が加速すると予想しています。

キーバンク(目標株価:190ドル、オーバーウエイトを再表明)

キーバンクのジョン・ヴィン氏は「オーバーウエイト」評価を維持しました。同氏は「エヌビディアは現在、コンセンサス予想PERの30倍で取引されており、競合他社の2025年のコンセンサスPER中央値(31倍)と比較して適正な水準にある」と分析しています。また、「CUDAソフトウェア・スタックが強力な参入障壁となっているため、競争リスクは限定的」と評価しました。さらに、Omniverseなどのメタバース関連の新たな収益源が今後の成長を後押しすると期待しています。

JPモルガン(目標株価:170ドル、オーバーウエイトを再表明)

JPモルガンのハーラン・サー氏は「オーバーウエイト」評価を再表明し、「エヌビディアはシリコン、ハードウェア、ソフトウェアのプラットフォームと強力なエコシステム(CUDAソフトウェア開発者は400万人以上)を持ち、競合他社よりも1~2歩リードしている」と述べました。また、新製品の積極的な投入と長期的な製品戦略により、市場での優位性を維持できると評価しています。

まとめ:エヌビディア株は今後どうなるのか?

ウォール街のアナリストの評価を見ると、多くがエヌビディアの長期的な成長を楽観視していることがわかります。短期的には、粗利益率の見通しが市場予想を下回ったことで株価の上値が重くなる可能性があります。しかし、AI市場の拡大が続く中で、エヌビディアは圧倒的な競争優位性を持ち続けると考えられています。

特に、CUDAソフトウェア・スタックをはじめとする強力なエコシステムは、競争相手の参入を難しくし、エヌビディアの市場支配力を支えています。また、ブラックウェルの成長が今後の売上拡大に寄与する可能性が高く、2025年後半には利益率の回復も見込まれています。

短期的な調整があっても、長期的な成長を見据えた投資判断が重要となります。エヌビディアが引き続きAI分野のリーダーであり続ける限り、その成長ポテンシャルは依然として大きいと言えます。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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