エヌビディアの第4四半期決算発表:投資家が注目すべき5つのポイント

米半導体大手のエヌビディア(NVDA)がまもなく1月期第4四半期決算を発表します。AIブームの中心企業として市場の注目を集める同社ですが、今回の決算発表ではいくつかの重要なポイントがあります。本記事では、投資家が特に注目すべき5つのポイントについて解説します。

ウォール街の期待値

エヌビディアの1月期第4四半期の売上は、前年同期比72%増の381億ドル、調整後の1株当たり利益は85セントになるとアナリストは予想しています。次の四半期(2025年4月期)については、売上421億ドル、1株当たり利益91セントと見込まれています。

同社の業績は、生成AIブームに支えられ、驚異的な成長を続けています。しかし、今回の決算発表では、単に売上や利益の数値だけでなく、次世代製品の供給能力や競争環境の変化、政策リスクなども考慮する必要があります。

次世代製品の供給能力

エヌビディアは、新たに発表した「GB200 NVL72 Blackwell Serverシステム」によってAIサーバー市場のゲームチェンジャーとなる可能性があります。このシステムは、1つのサーバーラックに72個のGPUを搭載し、従来の8個と比べて大幅な進化を遂げています。半導体業界の専門家は、このシステムをAIハードウェアの「頂点捕食者」と呼び、演算能力の密度が前例のないレベルに達していると評価しています。

ただし、投資家にとっての重要なポイントは、これらの次世代製品の供給能力です。アナリストの見解では、GB200 NVL72は高い需要が見込まれるものの、生産能力の拡大がどの程度進むかが焦点となります。特に、2025年の需要に対応できるだけの生産ペースを維持できるかがカギとなります。

また、アマゾン・ドット・コム(AMZN)やスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の決算説明会では、エヌビディアのブラックウェルシリーズの生産能力は2025年後半から2026年初頭にかけて加速度的に増加すると見込まれています。一方で、短期的な生産の伸びは緩やかである可能性が指摘されています。生産開始の遅れが発生すれば、短期的な懸念材料となるかもしれません。

カスタムチップ競争の激化

AI向け半導体市場では、エヌビディアに対抗する動きも加速しています。特にブロードコム(AVGO)のような競合他社は、大手テクノロジー企業が独自のAIチップを設計するのを支援しており、カスタムチップ市場が拡大しています。

エヌビディアの経営陣は、同社の競争優位性を「ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーキングの統合によるもの」と説明しています。これらの技術スタックは10年以上の改良を重ねて最適化されており、競争力は容易には揺るがないと考えられます。しかし、大手クラウド企業やAIスタートアップが独自チップの開発を進める中で、エヌビディアがどのように市場シェアを維持していくかが注目されます。

AI推論需要の加速

エヌビディアのAIハードウェアの需要は、生成AIの進化によってさらに加速するとみられます。特に、ディープシークの最新AIモデルがハードウェア需要に与える影響が注目されています。

エヌビディアのCEOであるジェンスン・フアン氏は先週、ディープシークの技術革新がコンピューティング能力に対する需要を拡大すると述べました。この技術により、AIモデルは単なる単純な推論ではなく、より高度な思考プロセスを通じて質の高い回答を導き出すことが可能になります。その結果、AIモデルの処理負荷が増加し、エヌビディアのGPUに対する需要が引き続き拡大すると考えられます。

決算発表では、フアン氏がこの分野についてどのようなコメントをするのかに注目したいところです。

トランプ政権による政策リスク

2025年のエヌビディアにとって最大の課題は、需要ではなく政府の政策となる可能性があります。ドナルド・トランプ大統領は、エヌビディアのアジア製製品に最大100%のチップ関税を課す可能性を示唆しています。また、中国などへのAI GPUの輸出規制をさらに強化する可能性もあります。

このような政策が実施されれば、エヌビディアの売上に影響を与える可能性があります。特に、米国外の市場における売上比率が高まる中で、中国市場への規制強化は重要なリスク要因となります。エヌビディアの経営陣がこのリスクについてどのように説明するかが、投資家にとっての関心事となります。

投資家はどのように考えるべきか

エヌビディアの長期的な成長ストーリーは依然として強力です。短期的には、生産能力や政策リスクといった懸念材料がありますが、AIの発展による需要拡大は継続しています。投資家は、短期的な市場の変動に一喜一憂するのではなく、AI市場の長期的な成長とエヌビディアの競争力を見極めることが重要です。

2025年のAI市場では、以下の3つのトレンドがエヌビディア製品の売上拡大を後押しすると予測されています。

  1. マルチステップのタスクを処理するAIエージェントの普及
  2. テキストだけでなく、画像、動画、音声を統合的に処理するマルチモーダルAIの進化
  3. AIモデルがリサーチや推論を行う「タイムテスト・コンピューティング」の進展

こうしたトレンドの進展が続く限り、エヌビディアの売上は力強い成長を維持すると考えられます。

政策リスクは依然として不透明ですが、トランプ政権が関税政策を導入しても、市場の反応次第では過度な負担を強いる政策が修正される可能性もあります。結局のところ、AIの能力向上とそれに伴う新たなユースケースの拡大が続く限り、エヌビディアの成長ストーリーに大きな変化はないと考えられます。

エヌビディアの株価は、これまでのように市場の波を乗り越えながらも、長期的な成長を続けていくことが期待されます。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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