オンライン教育企業のチェッグ(CHGG)は、グーグルのAI概要(AIO)が自社のトラフィックや売上に悪影響を与えたとして、グーグルを提訴しました。この発表を受け、チェッグの株価は大幅に下落し、2月25日の米国市場で過去最大の下落率を記録しました。
チェッグがグーグルを提訴した理由とは?
チェッグは、AIの普及により検索エンジンの構造が大きく変化したことが、自社の事業に悪影響を与えていると主張しています。特に、グーグルのAI概要(AIO)は、ユーザーが検索を行う際に、ページ上部にAIが生成した回答を表示するため、従来のようにリンクをクリックして詳細を調べる必要がなくなりました。
この変化により、チェッグのサイトへの訪問者が減少し、売上に直接影響を及ぼしているとされています。同社のCEOであるネイサン・シュルツ氏は、投資家向けの会議で次のように述べました。
「グーグルのAIOの拡大により、グーグルは単なる検索エンジンではなく、回答エンジンになりました。その結果、ユーザーはグーグルの検索結果画面で回答を得られるため、外部のコンテンツサイトを訪れる必要がなくなっています。」
この問題を受けて、チェッグはグーグルに対する法的措置を取ることを決定しました。
AIの台頭がチェッグの事業に与えた影響
チェッグは以前から、AIが自社の成長を阻害する可能性があると警告していました。特に2023年には、学生が宿題のサポートを求める際に、同社のサービスではなく、ChatGPTなどのAIを利用するケースが増加していると指摘していました。
これにより、同社の売上は減少傾向にあり、最新の決算発表でも市場予想を下回る見通しが示されました。
チェッグの最新の決算発表と市場の反応
チェッグは2月24日に第4四半期の決算を発表し、以下のような業績を報告しました。
- 売上:1億4,350万ドル(市場予想:1億4,210万ドル)
- 1株当たり利益:17セント(市場予想:18セント)
また、2025年第1四半期の売上予測を1億1,400万ドルから1億1,600万ドルの範囲としました。しかし、ウォール街のアナリストが予測していた1億3,870万ドルを大きく下回る内容でした。
この決算発表を受け、チェッグの株価は25日の米国市場で一時前日比33%安の1.04ドルとなり、2023年5月以来最大の下落率を記録しました。これは同社の過去最低の終値となります。
今後の展開は?買収や非公開化の可能性も
チェッグは、事業の再構築を図るために、買収や非公開化を含む戦略的選択肢を検討していることも明らかにしました。しかし、市場の反応は厳しく、株価の急落が示すように、投資家は同社の成長見通しに対して懸念を抱いています。
一方で、AIの進化が教育分野にどのような影響を与えるのかについても注目が集まっています。チェッグの提訴がどのような結果をもたらすのか、また、今後の事業戦略がどう変化するのかが、今後の焦点となりそうです。
まとめ
- チェッグは、グーグルのAI概要(AIO)が自社のトラフィックと売上に悪影響を与えたとして提訴。
- AIの台頭により、従来の検索エンジンからの流入が減少し、事業に大きな影響を与えている。
- 第4四半期決算では売上が市場予想を若干上回ったものの、1株利益は予想を下回った。
- 2025年第1四半期の売上予想はアナリスト予測を大幅に下回り、株価は過去最大の下落率を記録。
- 事業の立て直しのために買収や非公開化の可能性を検討中。
今後、チェッグの動向やグーグルとの法廷闘争の行方が、AIと教育業界全体にどのような影響を与えるのか注目されます。