原子力関連株が急落:AIデータセンターの需要見通しが影響

  • 2025年2月25日
  • 2025年2月25日
  • BS余話

2025年2月、原子力関連株が急落しました。この下落は、2月23日(金)から始まり、2月24日(月)も続いています。この背景には、大手ハイテク企業の電力需要が予想よりも高くない可能性が指摘されたことが影響しています。

マイクロソフトのデータセンター投資見直しが影響

TDカウエン証券のアナリストが21日と24日に発表した2つのレポートによると、マイクロソフト(MSFT)はデータセンターのリース契約を解除したとされています。これにより、同社の支出が見直される可能性が浮上しました。さらに、24日のレポートでは、マイクロソフトの支出がオラクル(ORCL)と比較される形で取り上げられました。

マイクロソフトがデータセンター投資の削減を示唆するニュースは、市場に大きな影響を与えました。特に、原子力関連株はAIデータセンターの成長と密接に関係しており、大手ハイテク企業の動向に敏感です。これまでも、中国のAI企業ディープシークが「ハイテク企業はより少ない消費電力でAI製品を開発できる」と示唆した際、原子力関連銘柄が下落したことがありました。

マイクロソフトは報道を否定、インフラ投資は継続

マイクロソフトは、この報道を否定しました。同社は「支出の調整を行うことはあるが、記録的なペースで成長を続けており、2025年度も800億ドル以上をインフラ投資に充てる予定」と述べました。さらに、同社の担当者は、「戦略的にペースを上げたり、一部の地域でインフラを調整することはあるが、全体としては強い成長を維持する」と強調しました。

原子力関連株の大幅下落

このニュースを受け、原子力関連企業の株価が大きく下落しました。

  • コンステレーション・エナジー(CEG):5.9%の下落
  • ビストラ(VST):5.08%の下落
  • オクロ(OKLO):12.14%の下落
  • ニュースケール・パワー(SMR):3.05%の下落

市場関係者の中には、この下落が過剰反応であると指摘する声もあります。TDカウエンのエクイティ・トレーディング・マネージング・ディレクターであるポール・ドットソン氏は、Eメールで「このニュースは誤解されている」とコメントしました。特に、成長を続けるセクターやテーマ株については、一時的なニュースで大きく変動しやすいという見解を示しました。

AIデータセンターと原子力の関係

近年、原子力とAIの結びつきは強まっています。原子力関連株は、マイクロソフトのような大手ハイテク企業が所有するAIデータセンターの需要拡大によって急騰しました。ハイテク企業が原子力を選好する理由として、以下の点が挙げられます。

  1. 安定した電力供給:データセンターは24時間365日稼働し続けるため、信頼性の高い電力が求められる。
  2. 環境規制への対応:原子力発電は二酸化炭素を排出しないため、企業のカーボンニュートラル目標達成に貢献する。

原子力業界が直面する課題

しかし、AIと原子力の関係が強まることが、必ずしも原子力企業にとって良いことばかりではありません。特に、新興の原子力企業は、コスト面での課題を克服しなければなりません。例えば、オクロのような企業は、原発を建設・運営する上でのコストが妥当であることを長期間かけて証明する必要があります。

また、原子力関連株は、ハイテク企業の戦略変更や市場の噂によって急変しやすいという特性を持っています。実際、今回の急落も、マイクロソフトがデータセンター投資を見直す可能性があるというニュースによって引き起こされました。市場は、こうした不確実性に敏感であり、今後もボラティリティの高い展開が続く可能性があります。

今後の展望

短期的には、原子力関連株はAI業界の動向に振り回される可能性があります。一方で、長期的には、ハイテク企業が引き続きクリーンエネルギーとしての原子力を重視する流れは変わらないでしょう。マイクロソフトをはじめとする企業が「データセンターの脱炭素化」を推進する中で、原子力が引き続き重要な役割を果たすと考えられます。

投資家としては、短期的な市場の動きに一喜一憂するのではなく、長期的な視点で原子力関連株の成長性を見極めることが重要です。今後の市場動向に注目しながら、慎重に投資判断を行うことが求められています。

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