この数週間、エヌビディア(NVDA)の株価は大きく変動しており、2月21日(金)も例外ではありませんでした。株価は4%下落し、終値は134.43ドルとなっています。しかし、ウォール街のアナリストたちは、来週発表される同社の決算を控えながらも、冷静な姿勢を保ちつつ、強気の見方を維持しています。
AI市場の競争とエヌビディアへの影響
先月、中国の人工知能(AI)スタートアップ企業であるディープシークが発表した新モデルによって、ハイテク投資家の間に不安が広がり、エヌビディアの株価は一時17%も急落しました。しかし、その後は回復し、当日の損失のほとんどを取り戻しました。過去1年間では、21日の終値時点で70%の上昇を記録しています。
一部の投資家が短期的な動揺を見せたものの、アナリストの見解では、ディープシークの技術がエヌビディアの圧倒的なAI市場での地位に大きな影響を与えることはないと考えられています。
21日にはジェンスン・フアンCEOがディープシークのイノベーションが人工知能(AI)ハードウェアの需要を減少させるのではなく、むしろ拡大させると考えていることが報じられています。
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2025年第4四半期決算の見通し
エヌビディアの第4四半期決算は、2月26日(水)の市場閉場後に発表される予定です。ウォール街の予測によると、今回の決算では特別なサプライズは期待されていません。
シュティフェルのアナリストであるルーベン・ロイ氏は、20日付けのリサーチノートで「決算から株価に強い好材料が出るとは考えにくい」と述べています。その理由として、エヌビディアの最新チップ「Blackwell」の販売が本格化するのは今年後半と予想されているため、今回の決算発表が特に注目を集める内容にはならないことをあげています。
ただし、ロイ氏はエヌビディアに対して悲観的な見方をしているわけではありません。市場が株価上昇のきっかけを求めるのであれば、3月に開催される「GTC(GPU Technology Conference)」を待つのが適切である可能性があると指摘しています。
ウォール街の評価と目標株価
ファクトセットのデータによると、エヌビディアを担当するアナリストの平均目標株価は175.39ドルとなっており、21日の終値と比較すると約30%の上昇余地があることを示唆しています。年初からこの水準を維持しており、20日にはキーバンクのアナリストであるジョン・ビン氏が目標株価を180ドルから190ドルに引き上げたことで、株価は再び上昇しました。
エヌビディアに対する市場の期待は依然として高く、中国企業によるAI技術の発展が注目を集める中でも、ウォール街のアナリストは同社の成長性に自信を持っています。今後の決算や技術イベントが、株価の方向性を決定づける重要な要素となりそうです。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA