ウォール街の格付けは本当に当てになる?バロンズの記事から投資戦略を学ぶ

  • 2025年2月19日
  • 2025年2月19日
  • BS余話

ウォール街のアナリストによる格付けは、多くの投資家にとって重要な情報源の一つです。企業の株価に対する「買い」「売り」などの評価や、目標株価の変更は、市場での銘柄選定に大きな影響を与えます。しかし、これらの格付けは本当に投資判断の助けになるのでしょうか?

米国の著名な投資情報メディア バロンズ(Barron’s) による最新の記事「Wall Street Analyst Ratings Are ‘Mostly Useless,’ Unless You Use Them in the Right Way」では、「ウォール街の格付けは投資家が思うほど役に立たないのではないか?」という興味深い視点が取り上げられています。この記事では、ウォール街の格付けがどのように機能しているのか、また投資家がどのように活用すべきかについて詳しく解説されています。本記事では、その内容を紹介しながら、投資家がどのように情報を活用すべきかを考えていきます。

ウォール街の格付けは過信できるのか?

バロンズの記事では、トリバリエイト・リサーチの創設者であり、元モルガン・スタンレーの米国株チーフ・ストラテジストであるアダム・パーカー氏の見解が紹介されています。同氏は「セルサイドの格付けはほとんど役に立たない」と指摘しています。

セルサイドとは、証券会社やリサーチ機関に属するアナリストたちが機関投資家(バイサイド)向けにリサーチを提供する業務を指します。パーカー氏は、過去25年間の株式リターンを分析し、最も高いリターンを生み出したのはウォール街で「最も愛されていない銘柄」だったと述べています。つまり、多くのアナリストが「買い」と評価している銘柄が必ずしも優れたパフォーマンスを示すわけではないということです。

しかし、これは「不人気銘柄を買えば儲かる」という単純な話ではありません。過去のデータを分析してパーカー氏が得た結論は、「ウォール街で最も愛されている銘柄を買うのは、あまり良いアイデアではない」というものです。

格付けが投資判断に与える影響

バロンズの記事では、投資家が一つのシグナルや調査結果に過剰反応すべきではない理由として、市場環境の変化を挙げています。例えば、ドットコムバブル崩壊後に導入された公正開示規制(Reg FD)により、企業がアナリストや大株主のみに選択的に情報を開示することが制限されました。これにより、アナリストの情報優位性が低下し、格付けの有効性にも変化が生じたと考えられます。

また、過去の市場データを分析すると、2001年から2013年にかけては「アップグレード(買い推奨)」された銘柄のパフォーマンスが高かったことが分かっています。しかし、このシグナルはその後の10年以上にわたって、追加リターンを生み出していません。つまり、アナリストの評価が市場のパフォーマンスと連動していた時期もあれば、そうでない時期もあるのです。

目標株価のばらつきと投資のヒント

最近では、バロンズの記事で紹介されているように、アナリストの目標株価のばらつきが投資判断に影響を与える可能性が指摘されています。

例えば、S&P500の時価総額1兆ドルを超える企業の中で、アルファベット(GOOGL)やバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)は、目標株価のばらつきが比較的小さく、それぞれ現在の株価の20%以下に収まっています。これは、市場の評価がある程度一致しており、投資家にとって安定した選択肢である可能性を示唆しています。

一方、テスラ(TSLA)やエヌビディア(NVDA)の目標株価のばらつきは非常に大きく、現在の株価と比較した目標価格の高低差は、それぞれ約150%と75%にもなります。これほど幅があるということは、市場の見方が大きく分かれており、将来の株価が不透明であることを意味します。

投資家がウォール街の格付けをどう活用すべきか

バロンズの記事では、「格付けを盲信して銘柄を売買するのは適切ではない」と警鐘を鳴らしています。特に、2022年9月には「目標株価のばらつきが小さい銘柄が市場をアウトパフォームする」という指標の有効性がピークを迎えたものの、その後はその影響が薄れている可能性があると指摘されています。

では、投資家はウォール街の格付けをどのように活用すればよいのでしょうか?

1. 格付けを「絶対的な指標」ではなく「参考情報」として活用する
アナリストの格付けは、業界の動向や企業の経営陣の考えを把握するための一つの手段として有用ですが、それだけを頼りに投資判断を下すのは危険です。

2. 市場環境や規制の変化を考慮する
アナリストの予測が過去に当たっていた時期もあれば、外れた時期もあります。市場環境や規制の変化を理解し、長期的な視点で投資を検討することが重要です。

3. 目標株価のばらつきを分析する
目標株価のばらつきが小さい銘柄は、ウォール街の評価が安定しているため、市場で一定の信頼を得ている可能性があります。ただし、これも唯一の判断基準にするのではなく、他の指標と組み合わせて分析する必要があります。

まとめ

バロンズの記事では、ウォール街の格付けが投資判断に与える影響について冷静に分析されています。アナリストの評価は、投資の参考情報として活用できますが、過信すべきではありません。特に、目標株価のばらつきや市場環境の変化に注意を払い、総合的な視点で投資判断を行うことが求められます。

格付けを「指針の一つ」として活用しながら、独自のリサーチを行い、賢明な投資判断を下すことが成功への鍵となります。

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