2025年の米国株市場では、これまで市場を牽引してきた「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるハイテク・メガキャップ銘柄が苦戦する一方で、シスコ・システムズ(CSCO)、インターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)、オラクル(ORCL)といった「レガシー・テクノロジー銘柄」が注目を集めています。
ブルームバーグが「Cisco and IBM Show Old-School Tech Names Can Be AI Winners Too」というタイトルで報じた2月18日付けの記事では、なぜこれらの銘柄が2025年に再評価されているのか、そして投資家がどのような点に注目しているのかについて詳しく解説されています。本記事では、その内容を紹介しながら、レガシー銘柄の魅力について掘り下げていきます。
テクノロジー株市場の変化:AIブームと成長鈍化の兆し
ブルームバーグの記事によると、2025年の米国株市場では、AI関連の成長をけん引してきた大手ハイテク企業が期待ほどのパフォーマンスを発揮できていません。
例えば、エヌビディアの年初来の上昇率はわずか3.4%にとどまり、アップル、マイクロソフト、アルファベット、テスラといった銘柄は軒並み年初来でマイナスとなっています。一方で、シスコは約10%上昇し、IBMは19%、オラクルも4.5%上昇しています。
マグニフィセント・セブン全体のトータルリターン・インデックスが1.7%の上昇にとどまる中、レガシー銘柄の方が高いパフォーマンスを発揮している点が注目されています。
シスコの成長:AIインフラ需要が追い風
ブルームバーグの記事では、シスコの業績について詳しく分析されています。
シスコは長らくネットワーク機器の販売企業として知られていましたが、AIインフラの需要が拡大する中で、再び成長の兆しを見せています。2025年初の決算では市場予想を上回る結果を発表し、AI関連のデータセンター需要の増加が明らかになりました。このニュースを受け、シスコの株価は2000年以来の最高値を更新しました。
ブルームバーグによると、シスコの2025年度の売上成長率は4.8%、2026年度には5%に加速すると予想されています。これはテクノロジーセクター全体の成長率と比較すると控えめではあるものの、割安なバリュエーションと高い配当利回りを考慮すると、安定した投資先としての魅力が高まっていると評価されています。
IBMの復活:AI関連の契約増加と売上成長
IBMもまた、AIブームの恩恵を受けて再評価されている企業の一つです。
ブルームバーグの記事によると、IBMは2025年初に発表した決算で、AI関連の契約予約が急増していることを明らかにしました。また、長期的な売上成長の見通しについても強気な姿勢を示しており、市場の期待が高まっています。
IBMはクラウドコンピューティングやハイブリッドクラウド、AI分野で強みを持ち、特に企業向けのAIソリューションで競争力を発揮しています。この成長が評価され、2025年に入ってからの株価上昇につながっています。
*過去記事はこちら IBM
オラクルのクラウド事業成長と市場での再評価
オラクルもここ数年は成長鈍化が懸念されていた企業ですが、クラウド市場でのプレゼンスが高まり、市場からの評価が変わりつつあります。
ブルームバーグによると、オラクルはクラウドコンピューティング市場で、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベットと並ぶ主要プレイヤーとして再認識されるようになっています。
メリウス・リサーチのアナリスト、ベン・ライツェス氏は「オラクルはかつて非常に過小評価されていたが、成長を取り戻し、ソフトウェア販売の拡大を進め、安定した売上成長が見込める企業となった」と述べています。
市場の認識が変化したことで、オラクルの株価も2025年に入ってから堅調に推移しています。
*過去記事「オラクル株価急上昇!トランプ大統領の5000億ドルAI投資がもたらす新時代」
割高なマグニフィセント・セブン vs. 割安なレガシー銘柄
ブルームバーグの記事では、現在の市場環境におけるバリュエーションの違いについても指摘されています。
マグニフィセント・セブンのPER(株価収益率)が30倍を超える中、シスコのPERは17倍以下と割安な水準にあります。また、IBMやシスコの配当利回りは2.5%を超えており、テクノロジー企業としては異例の高水準です。
テッド・パリッシュ氏(パリッシュ・キャピタルのチーフ・インベストメント・オフィサー)は、「マグニフィセント・セブンの影に隠れていた、より安価で多様性のあるハイテク企業が今後も市場をリードしていく」と述べています。
また、ブルームバーグ・インテリジェンスによると、テクノロジー業界全体の成長率はシスコやIBMの成長率の2倍程度と見られていますが、割高なバリュエーションに対する警戒感が強まる中で、レガシー銘柄への資金流入が加速する可能性があると指摘されています。
まとめ:2025年のテクノロジー株投資戦略
ブルームバーグの記事が指摘するように、2025年の米国株市場では、マグニフィセント・セブンの成長鈍化が目立つ一方で、シスコ、IBM、オラクルといったレガシー銘柄が再評価されています。
これらの企業は、AI関連の需要拡大を背景に安定した成長を続けており、割安なバリュエーションや高い配当利回りが投資家にとって魅力的なポイントとなっています。
今後の市場環境を考慮すると、AI関連の長期的な成長は続くものの、短期的には割安なレガシー銘柄への資金シフトが続く可能性があります。投資戦略の一環として、これらの銘柄に注目するのも一つの選択肢となりそうです。