エヌビディア(NVDA)の株価は、2月18日の米国市場でも上昇しました。投資家の間では、中国企業ディープシークの人工知能(AI)プラットフォームがもたらす脅威は誇張されているとの見方が広がったことが上昇の背景にあるようです。
BofA証券のアナリストであるビベック・アリヤ氏によると、ウォール街ではディープシークのAI開発コストが低いという「誇張された」主張について議論が続いています。しかし、その一方で、AI関連の支出を増やす新たな計画が次々と発表されており、市場のセンチメントは好転しています。
エヌビディアの株価動向
エヌビディアの株価は18日に0.4%上昇し、3営業日連続で上昇しました。この3日間で株価は合計6.9%の上昇を記録しています。
ディープシークのAI技術に関する懸念が初めて浮上した1月27日には、エヌビディアの株価が17%急落しました。その後、2月3日までに合計18.2%の下落となりましたが、最近の市場の動きを見ると、投資家の不安は和らいでいるようです。
欧州のAI投資がエヌビディアに追い風
アリヤ氏は、欧州委員会が先週パリで開催したAIアクション・サミットで発表したAI投資計画が、市場では十分に注目されていない可能性があると指摘しています。
欧州委員会はこのサミットで、AIギガファクトリーに200億ユーロ(約220億ドル)を含む、総額2000億ユーロ(約2200億ドル)規模のAIインフラ投資を発表しました。さらに、フランス政府もAIインフラと展開プロジェクトに1090億ユーロ(約1199億ドル)の民間投資を行うと発表しています。
これらの発表を受けて、アリヤ氏は「ディープシーク関連のAIモデルの最適化が短期的・中期的なリスクとなる可能性は低い」との見解を示しました。
エヌビディアの競争力は揺るがない
エヌビディアの株価は2023年に239%、2024年に171%と急騰したため、現在の株価が割高ではないかという懸念が一部で浮上しています。しかし、アリヤ氏はエヌビディアの強みについて次のように述べています。
「エヌビディアのコンピューティング・プラットフォームとしての強みは、単なる半導体メーカーと異なり、一貫したハードウェアとソフトウェアの最適化を実現している点にある。この特長が、変化の速いAI市場において同社を理想的なポジションに置いている。」
同氏は、エヌビディアの目標株価を190ドルとし、「買い」の格付けを維持しています。
半導体市場の動向とエヌビディアのパフォーマンス
2025年に入ってから、エヌビディアの株価は3.8%上昇しています。一方、PHLX半導体指数(SOX)は5.4%、S&P500指数(SPX)は4.2%の上昇となっており、エヌビディアの上昇率はやや控えめに見えます。
しかし、AI分野への巨額投資が進む中、エヌビディアの成長余地は依然として大きいと考えられます。ディープシークの台頭が懸念されていたものの、市場の見方が変わりつつあり、エヌビディアの競争力が揺るがないことが改めて認識されてきています。
まとめ
エヌビディアの株価は、ディープシークのAI技術に関する懸念が和らいだことで上昇を続けています。欧州でのAI投資の拡大が追い風となり、短期的なリスク要因は限定的であるとの見方が広がっています。
エヌビディアの強みは、単なる半導体メーカーではなく、ハードウェアとソフトウェアの両面で最適化を進める「コンピューティング・プラットフォーム」としての立ち位置にあります。この競争力が、今後のAI市場での成長を支える鍵となります。
2025年も引き続き、AI市場とエヌビディアの動向に注目が集まることになりそうです。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA