ドナルド・トランプ大統領の発言が、防衛関連株の大きな値動きを引き起こしています。特に、軍事費に関する発言やウクライナ戦争の終結をめぐる動きが、市場のセンチメントを揺さぶっています。
トランプ大統領の軍事費削減発言で防衛株が下落
2月13日、トランプ大統領は軍事費を半減させたいと発言しました。この影響で、ロッキード・マーチン(LMT)、ノースロップ・グラマン(NOC)、L3ハリス・テクノロジーズ(LHX)などの主要防衛関連企業の株価が下落しました。
防衛関連企業は米国政府の国防予算に大きく依存しているため、大幅な予算削減が懸念されると、市場は敏感に反応します。軍事費の削減が現実となれば、防衛企業の売上に直接的な影響を及ぼす可能性があります。
和平交渉の進展で防衛株が反発
18日にはトランプ政権の高官がサウジアラビアでロシア側と会談し、ウクライナ戦争の終結について話し合いました。このニュースを受けて、防衛関連株は再び上昇しました。
和平交渉が成立すれば、国際社会の安全保障環境が変化し、それに伴い国防支出が増加する可能性があります。米国だけでなく、欧州諸国も防衛予算を拡大する動きを見せる可能性が高まっています。
欧州諸国の防衛費増加が株価を押し上げる
フランスとドイツは、2014年のロシアによるクリミア併合後、NATO加盟国としてGDP比2%の防衛費を確保することを求められていました。しかし、実際にはその達成が遅れていました。
今回、トランプ政権がロシアと協議を開始したことにより、欧州各国は防衛支出の増額を迫られています。その結果、ドイツの防衛企業ラインメタルは、18日に0.9%下落したものの、過去5日間で26%上昇しました。また、BAEシステムズは0.5%上昇し、5日間で12%の上昇を記録しました。
これらの動きが市場全体にも影響を与え、ドイツのダックス指数やSTOXXヨーロッパ600は過去最高値を更新しました。
アジア市場でも防衛関連の需要が増加
さらに、中国と台湾の緊張が続いているため、アジア市場でも防衛関連の需要が高まっています。特に台湾は、米国から最大100億ドルの武器購入を検討していると報じられています。
この動きを受け、18日の米国市場では午前の段階で、ロッキード・マーチンが1.6%上昇、ノースロップ・グラマンが0.9%上昇、ゼネラル・ダイナミクス(GD)が0.36%上昇、L3ハリスが0.1%上昇しました。S&P500の航空宇宙・防衛指数は1.5%上昇し、過去12ヶ月で23%の上昇を記録しています。
トランプ大統領の外交政策と今後の市場動向
トランプ大統領がロシア側と会談を行う決定を下したことで、地政学的リスクが高まり、欧州各国は警戒を強めています。特に、サウジアラビアでの会談にはウクライナのゼレンスキー大統領が招待された一方、ヨーロッパの首脳は招待されませんでした。
このような外交政策の変化は、今後の市場に大きな影響を与える可能性があります。防衛関連株は引き続き、地政学リスクや政策の動向に大きく左右される展開が予想されます。
まとめ
- トランプ大統領の軍事費削減発言で防衛株が一時下落
- サウジアラビアでの和平交渉報道により、防衛株が反発
- 欧州諸国は防衛費増額を迫られ、防衛株が急騰
- 台湾情勢の影響で、アジア市場の防衛関連需要が増加
- トランプ大統領の外交政策が今後の市場動向を左右
今後も、トランプ政権の動きと地政学リスクに注目しながら、防衛関連株の動向を慎重に見極める必要があります。