ウォーレン・バフェットが市場を無視?バークシャー・ハサウェイが株式を売り続ける理由

  • 2025年2月18日
  • 2025年2月18日
  • BS余話

米国の投資情報誌「バロンズ」は、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)が、現在の株式市場の上昇トレンドに乗らず、慎重な投資姿勢を貫いていることを報じています。

S&P500(SPX)は2024年に25%上昇し、2025年も4%の上昇を見せていますが、バークシャー・ハサウェイは大規模な株式の純売却を続けています。バフェット氏は市場が最高値を更新する中でも積極的な買いを控えており、今後の投資戦略に注目が集まっています。

バークシャー・ハサウェイの慎重な投資姿勢

バロンズの記事によると、バークシャー・ハサウェイの投資方針は2024年第4四半期においても慎重なものでした。同社の3,000億ドル規模の株式ポートフォリオを監督するバフェット氏は、2024年を通じて株式の売却を続けていました。

エドワード・ジョーンズのアナリスト、ジェームズ・シャナハン氏の分析によると、バークシャー・ハサウェイは2024年第4四半期に約60億ドルの株式をネットで売却。これは2024年第1~第3四半期に売却した1,270億ドルに比べると規模は小さいものの、依然として売りの姿勢を継続していることが分かります。

9カ月間の売買実績を見ると、バークシャー・ハサウェイは60億ドル弱の株式を購入した一方で、1,330億ドルの株式を売却しており、大幅な売り越しとなっています。

主な売却銘柄

バロンズの記事では、バークシャー・ハサウェイの主な売却銘柄についても詳しく報じられています。特に注目されるのは、アップル(AAPL)バンク・オブ・アメリカ(BAC)です。

  • アップル
    バークシャー・ハサウェイは、アップル株を約1,100億ドル分売却。この結果、アップルの保有株は約3億株に減少し、現在の時価総額は約730億ドルとなっています。
  • バンク・オブ・アメリカ
    50億ドル分の株式を売却しており、保有比率を大きく下げました。また、シティグループ(C)も30億ドル分売却し、現在の保有額は約10億ドル程度にとどまっています。

購入した銘柄は?

バークシャー・ハサウェイが購入した銘柄についても、バロンズの記事では取り上げられています。

  • コンステレーション・ブランズ(STZ)
    ワインやビール、スピリッツを手がける同社の株式を約10億ドル取得
  • チャブ(CB)
    保険会社チャブの株式を買い増し、2024年後半には約70億ドル相当を保有
  • オクシデンタル・ペトロリアム(OXY)
    約130億ドル分の株式を保有し、同社の株式の約30%を占める。バークシャー・ハサウェイは2022年からオクシデンタル・ペトロリアムの株式を積極的に取得しており、その流れが継続しています。

アップル売却のタイミングは適切だったのか?

バロンズの記事では、バークシャー・ハサウェイのアップル株の売却タイミングについても議論されています。

  • アップル株の売却価格
    バークシャー・ハサウェイはアップル株を1株あたり約185ドルの平均価格で売却しましたが、現在の株価は244ドル。結果として、売却のタイミングは早すぎた可能性があると指摘されています。
  • バンク・オブ・アメリカの売却価格
    バークシャー・ハサウェイのバンク・オブ・アメリカ株の平均売却価格は40ドル強。しかし現在の株価は47ドルとなっており、こちらもやや売却のタイミングが早かったのではないかという見方が出ています。

バフェット氏の投資哲学と市場との乖離

バロンズは、バフェット氏が過去にも市場と歩調を合わせなかった事例を紹介しています。

  • 1990年代後半のインターネット・バブル期
    当時、多くの投資家がハイテク株に熱狂していましたが、バフェット氏は慎重な姿勢を貫いていました。その結果、2000年代初頭のドットコムバブル崩壊を回避することに成功しました。
  • 現在の市場環境
    現在の市場では、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大型ハイテク株が上昇を牽引しています。しかし、バークシャー・ハサウェイはこれらの銘柄の買い増しには慎重な姿勢を保っているとのことです。

バークシャー・ハサウェイの現金保有と今後の戦略

バロンズの記事によると、バークシャー・ハサウェイの現金および現金同等物の保有額は、2024年9月30日時点で過去最高の3,100億ドルに達しているとのことです。第4四半期における株式売却の影響もあり、この額はさらに増加している可能性があります。

バフェット氏は、市場が大きく下落した際に備えて豊富な現金を確保する方針を続けています。2020年のコロナショック時のように、市場が大幅に下落した場合に備え、適切な投資機会を待っていると考えられます。

まとめ

バロンズの記事では、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが現在の株式市場の上昇局面に追随せず、慎重な投資姿勢を維持していることが報じられています。

特に、アップルやバンク・オブ・アメリカの売却は市場の注目を集めましたが、これはバフェット氏の長期的な投資戦略に基づく判断とみられます。

また、バークシャー・ハサウェイの現金保有額は過去最高を記録しており、市場が大きく下落した際には、この資金を活用して優良銘柄を割安で取得する可能性が高いとバロンズは指摘しています。

バフェット氏の慎重な投資戦略は、過去の実績からも長期的に成功を収める可能性が高く、今後の市場動向と同社の動きに引き続き注目が集まります。

*過去記事「バークシャー・ハサウェイの最新投資動向!バンク・オブ・アメリカを売却し、新たに選んだ銘柄は?

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