テキサス州の公的年金は、その規模と影響力から常に注目を集めています。同州最大の公的年金であるテキサス州教職員退職年金制度(TRS)は、最新の証券取引委員会(SEC)への提出書類で、テクノロジー株の投資配分を大幅に変更したことを明らかにしました。
パランティアを買い増し
TRSはデータ分析企業のパランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株式を大幅に買い増しました。昨年、パランティアの株価は340%上昇し、S&P500の23%の上昇率を大きく上回りました。今年に入ってからも株価は58%上昇しており、S&P500の4%の上昇率と比較しても高い成長を見せています。
パランティアは、2024年後半にS&P500とナスダック100に組み入れられたことで、より多くの投資家の注目を集めました。TRSは、同社の株式を50万7,340株購入し、第4四半期終了時点での保有株数を52万900株に増やしました。
エヌビディアへの投資を拡大
エヌビディア(NVDA)は、人工知能(AI)チップの分野で圧倒的な存在感を持つ企業です。TRSは、同社の株式を180万株買い増し、合計で870万株を保有することとなりました。
エヌビディアの株価は、2024年に171%急騰し、2025年に入ってからも3.4%上昇しています。1月には、中国の企業が低価格AIモデルを発表した影響で一時下落しましたが、市場では依然として強い業績を期待する声が多く、2月26日の第4四半期決算発表に注目が集まっています。
テスラの投資比率を半減
テスラ(TSLA)への投資は半減しました。同社の株価は、2024年に63%上昇しましたが、2025年に入ってからは12%下落しています。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が政治的な発言を強める中、投資家の間では、マスク氏がテスラの経営に集中できていないのではないかとの懸念も広がっています。
AT&Tの投資を縮小
通信大手AT&T(T)の株式についても、TRSは投資を削減しました。190万株を売却し、180万株で第4四半期を終えました。AT&Tは2024年に37%上昇し、2025年はここまで14%上昇しています。メディア事業からほぼ撤退したことが株価上昇の要因の一つとなっています。配当利回りの高さが魅力ですが、以前ほどの輝きはないと指摘する声もあります。
TRSの投資方針の変化
TRSは、運用資産2,105億ドルを誇る全米第6位の公的年金であり、世界では第25位の規模を持ちます。その投資戦略は、多くの投資家にとっても重要な参考指標となります。
今回の動きを見ると、TRSは成長が期待されるハイテク銘柄への集中投資を強めている一方で、伝統的なディフェンシブ銘柄の比率を縮小していることがわかります。特に、パランティアやエヌビディアといったAI関連銘柄への投資増額は、今後の市場の成長を見越したものと考えられます。
まとめ
テキサス州教職員退職年金制度(TRS)は、2025年に向けて大きな投資戦略の変更を行いました。
- パランティアを大幅に買い増し
- エヌビディアの投資を拡大
- テスラへの投資を半減
- AT&Tの保有株を減少
今後の市場の動向次第では、TRSの戦略が成功するかどうかが試されることになります。特に、AI関連銘柄の成長が継続するかどうかが、同年金基金のパフォーマンスに大きな影響を与えそうです。