トレードデスク(TTD)は、メディアバイヤー向けの独立系アドテクプラットフォームを提供するリーディングカンパニーです。同社のソフトウェアは、広告代理店やブランドがデジタルキャンペーンを計画、測定、最適化するための支援を行っています。さらに、高度な機械学習と測定機能を活用し、メディアバイヤーが広告予算をより効果的に活用できるようサポートしています。
特に、トレードデスクはリテールメディアとコネクテッドTV(CTV)の分野で強い存在感を示しており、広告市場の成長を牽引する企業の一つとして注目されています。
トレードデスクの独立性がもたらす強み
トレードデスクのビジネスモデルは、アルファベットやメタ・プラットフォームズと異なり、広告在庫を所有していません。このため、広告バイヤーを自社のウェブプロパティに誘導するインセンティブがなく、利益相反が生じるリスクが排除されています。
また、同社は広告在庫を販売する企業(パブリッシャー)と競合しないため、小売業者やCTVプラットフォームと協力しやすいという強みがあります。実際に、トレードデスクはアルバートソンズ、ターゲット、ウォルマートなどの大手小売業者からデータを調達しており、ネットフリックス、ロク、スポティファイ、ウォルト・ディズニーのHuluやDisney+といった大手ストリーミングサービスからも広告在庫を仕入れています。
第4四半期決算は市場予想を下回るも、長期的な成長余地は大きい
トレードデスクは2024年第4四半期の決算で市場予想を下回る結果を発表しました。売上は前年同期比22%増の7億4,100万ドルとなりましたが、同社が提示していたガイダンス(少なくとも7億5,600万ドル)には届きませんでした。一方で、非GAAPベースの純利益は44%増加し、希薄化後の1株当たり利益は0.59ドルとなりました。
ジェフ・グリーン最高経営責任者(CEO)は、この業績について「一連の小さな不手際が原因でつまずいた」と説明しましたが、すでに問題を修正するための措置を講じたと述べています。
この決算発表を受けて、トレードデスクの株価は急落しましたが、モルガン・スタンレーのアナリストであるマシュー・コスト氏は、これを絶好の買い場と見ています。同氏は、第4四半期の業績が期待外れだったのは競争環境の変化や市場縮小ではなく、一過性の要因によるものであると指摘しており、小売メディアやCTV広告分野での強みを理由に、同社の成長ストーリーは変わらないと考えています。
2026年まで年平均21%の売上成長が予想される
ウォール街の予想では、トレードデスクの売上は2026年まで毎年21%の成長が見込まれています。現在の株価は利益の49倍というバリュエーションで取引されており、これは決算発表前の利益80倍の水準よりも合理的な水準です。
短期的な株価の変動があるものの、同社のビジネスモデルの強みや成長分野への投資を考えると、長期的な視点での投資機会が広がっています。現在の株価下落は、忍耐強い投資家にとって魅力的なエントリーポイントとなる可能性が高いと思われます。
まとめ
トレードデスクは、独立したアドテクプラットフォームとしての強みを活かし、リテールメディアとCTV広告市場での成長を続けています。第4四半期決算は市場の期待を下回りましたが、これは一時的な要因によるものであり、長期的な成長ストーリーには変化がありません。ウォール街の予想では、今後も高い売上成長率が維持される見通しであり、現在の株価下落を活用してポジションを構築する投資家にとって、魅力的なチャンスが広がっています。
*過去記事はこちら トレードデスク TTD