アップル(AAPL)とアルファベット(GOOGL)は、動画共有アプリ「TikTok」をモバイルアプリストアに復帰させました。これは、アメリカでのTikTokの運営を巡る新たな動きです。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、両社は米司法長官のパム・ボンディ氏から、アプリをストアに戻しても法的な影響を受けないことを保証する書簡を受け取ったとされています。このアプリは、中国の親会社であるバイトダンスに対し、アプリの売却または運営停止を求めるアメリカの法律に従うため、一時的に削除されていました。
ドナルド・トランプ大統領は就任初日に、この法律の施行を延期する大統領令に署名しました。TikTokの所有権については、オラクル(ORCL)やマイクロソフト(MFST)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)などの企業が関心を示しているとされています。
トランプ大統領は記者会見で、執行の延期について「延長の可能性がある」と述べ、「TikTokに関心を持つ企業は多い」と付け加えました。さらに「TikTokは非常に人気があるため、中国からの承認が必要になるかもしれないが、多くの企業が関心を持っている」との考えを示しました。
アップルにとっての影響
アップルにとって、TikTokの復帰が法的リスクを伴わないことは、中国市場との関係を維持する上で重要な意味を持ちます。同社は現在、中国で人工知能(AI)機能を搭載したデバイスの販売を目指しており、中国の規制当局の承認を得る必要があります。
アップルは、中国の大手企業であるアリババや百度(バイドゥ)と提携し、2025年半ばまでにAI機能を発表する予定です。これらの提携によって、現地の規制要件を満たしつつ、中国市場での競争力を強化することを目指しています。
iPhoneの売上に対する影響
ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダニエル・アイブス氏はリサーチノートで、「中国市場でのiPhone販売は、5月上旬に予定されているAI機能の導入が鍵となる」と指摘しました。同氏は、現在中国には約2億台のiPhoneが存在し、そのうち1億台以上がアップグレードの対象になる可能性があると予測しています。アップルの株価について、同氏は「アウトパフォーム」の評価を維持し、目標株価を325ドルと設定しました。
一方で、調査会社Canalysのデータによると、アップルは中国市場でのスマートフォンシェア1位の座を失いました。これは、中国国内の競合メーカーがAI機能を搭載したスマートフォンを販売し、アップルのデバイスにAI機能がないことを競争上の優位性として利用したためと考えられています。
キーバンクのアナリストは、最新のリサーチノートで「中国市場での競争が激化する中、2025会計年度のiPhoneの売上成長率は0.1%にとどまる可能性がある」と予測しました。同社は、アップルの株価評価を「アンダーウェイト」とし、目標株価を200ドルに再設定しました。
アップルの株価動向
2月14日の米国市場では、アップルの株価は午後1時30分過ぎの段階で1.1%上昇し、244.26ドルで取引されています。これは、TikTokをアプリストアに復帰させたことや、中国市場でのAI導入計画が投資家に好感された可能性があります。ただし、中国市場での競争環境が厳しくなっていることを踏まえると、今後の株価の動向には注意が必要です。
*過去記事はこちら アップル AAPL