2025年のビッグテック市場:メタ・プラットフォームズの独走が続く理由

2025年のビッグテック市場は荒れたスタートを切っています。アマゾン(AMZN)、アルファベット(GOOG, GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)は直近の四半期決算でクラウド事業の売上がウォール街の予想を下回りました。アップル(AAPL)はiPhoneの販売台数が予想を下回り、テスラ(TSLA)は売上・利益ともに期待を裏切る結果となりました。

これらの要因が各社の株価に影響を与えています。アルファベットとマイクロソフトは年初来でともにそ3%下落し、テスラは17%の下落、アップルの株価も5.4%下落しています。マイナス圏ではないものの、アマゾンの年初来の上昇率は4.35%にとどまっています。

しかし、好調を維持している企業があります。それがメタ・プラットフォームズ(META)です。ソーシャルメディア大手であるメタの株価は年初来で23.9%上昇し、2月12日現在で18連騰を記録しています。他のハイパースケーラーが苦戦する中、なぜメタだけがここまで好調なのでしょうか?

メタの成長の鍵は「自社成長に直結する投資」

AI投資がメタの株価上昇を後押ししているのは明らかですが、これはライバル企業のAI投資とは異なる性質を持っています。アマゾンは2025年に1,000億ドル以上、アルファベットは750億ドル、マイクロソフトは800億ドルの設備投資を計画しています。これらの投資はクラウドサービスを強化し、外部の顧客を引きつけるためのものです。

一方で、メタも600億ドル〜650億ドルをAI技術に投じる予定ですが、この投資は主に自社のプラットフォーム成長に直結しています。他社が顧客にAIサービスを提供しようとしているのに対し、メタのAI活用は自社のビジネスモデルの強化を目的としています。

メタのAI投資が広告売上とユーザー滞在時間を増加させる

メタのAI投資がウォール街で評価される理由の一つは、広告売上の増加とユーザーの滞在時間の向上に直結していることです。ZKリサーチの創設者で主席アナリストのゼウス・ケラバラ氏は、「メタはAIへの投資を主にビジネスを推進するために使っている」と指摘しています。

マーク・ザッカーバーグCEOによると、AIを活用したフィードや動画レコメンデーションの改善により、2025年のFacebookの利用時間は8%、Instagramの利用時間は6%増加しました。さらに、第4四半期の決算発表では、スーザン・リーCFOが「400万人の広告主がメタの生成AIツールを活用して広告を作成しており、半年前の100万人から急増している」と述べています。こうした明確な成果が、投資家の信頼を得ている要因です。

他のハイパースケーラーとは異なる収益モデル

アマゾン、アルファベット、マイクロソフトもAI投資によって前向きな変化を見ています。しかし、これらの企業がAIを活用したサービスを提供するためには、データセンターを建設し、顧客が契約を結ぶまでの長いプロセスを経る必要があります。対照的に、メタは自社のプラットフォーム上で直接AIを活用できるため、投資の効果がすぐに現れています。

TECHNALYS Researchの創設者でチーフアナリストのボブ・オドネル氏は、「他のハイパースケーラーは自社のAIサービスを売ることに注力しているが、メタはそれを気にしていない」と説明しています。メタはプラットフォームの強化を目的とした投資を行っており、その成果が株価に反映されているのです。

メタのオープンソースAI「Llama」の可能性

メタのオープンソースAIモデル「Llama」も注目を集めています。この技術により、メタは世界的なAI標準を構築しようとしています。現在のところ、このソフトウェアは無料で提供されていますが、Llamaを利用できるユーザー数は月間7億人に制限されています。

Futurumグループのダニエル・ニューマンCEOは、「Llamaを基盤として活用しようとする企業が増えれば、ライセンス収入は将来的にメタの大きな収益源になる」と分析しています。メタは既に次世代のオープンソースAI「Llama 4」を準備しており、ザッカーバーグCEOは「Llama 4はネイティブなマルチモーダル対応で、エージェント機能を備えたモデルになる」と述べています。

メタの成長は今後も続くのか?

メタがLlamaをどのように収益化していくかはまだ未知数です。また、AI競争の勝者を現時点で決めるのは困難です。しかし、投資家たちはザッカーバーグCEOとメタの戦略に期待を寄せており、現在の株価上昇がそれを物語っています。

2025年のビッグテック市場は激動のスタートを切りましたが、メタはその中で際立つ成長を遂げています。AIへの投資を単なる技術開発ではなく、直接的なビジネスの成長エンジンとして活用するメタの戦略が、今後も市場で評価され続ける可能性は高いと予想されます。

*過去記事 メタ・プラットフォームズ

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