インテルの株価急騰!米国の半導体製造政策が追い風に

  • 2025年2月12日
  • 2025年2月12日
  • BS余話

米国の半導体製造政策が注目を集める中、インテル(INTC)の株価が2月11日の米国市場で急騰しました。J.D.バンス副大統領がパリで開催された人工知能(AI)サミットで米国内での半導体製造強化を示唆する発言をしたことが、投資家の期待を高めています。

バンス副大統領の発言とインテルの株価上昇

インテルの株価は11日に一時7%以上急騰し、S&P500種株価指数の中でも最高のパフォーマンスを記録しました。バンス副大統領は、AI分野でのアメリカの優位性を守るために「最も強力なAIシステムは、アメリカで設計・製造されたチップを使用する」と述べました。

インテルは米国最大の半導体メーカーであり、現在、大規模なファウンドリー(受託生産)事業への拡大を進めています。これまでに米国のチップス法に基づき約80億ドルの資金援助を受けており、今後の政策次第ではさらなる支援を受ける可能性もあります。

*関連記事「トランプ政権、人工知能(AI)技術の規制緩和と国産化を推進

インテルのファウンドリー事業とAIチップ戦略

インテルは現在、AIチップ市場での存在感を強めるために、他社向けのチップ製造を継続しています。同社はアマゾン・ドット・コム(AMZN)のAWSクラウド事業向けにAIチップ「Tranium」の製造契約を結んでおり、今後の成長が期待されています。

一方で、インテルは主要なAIチップの開発において遅れをとっており、一部の開発プロジェクトをキャンセルした経緯もあります。しかし、他社のチップ製造を請け負うことで、AI市場での影響力を確保しようとしています。

チップス法の行方とTSMCの影響

Moor Insights & Strategyのアナリスト、パトリック・ムーアヘッド氏は「インテルに対するチップス法の支援は継続すると考えられるが、TSMC(TSM)に対して同様の支援が行われるかは不透明だ」と指摘しています。

TSMCは世界最大の半導体メーカーであり、米国の支援を受けてアリゾナに新しい製造工場を建設しました。2025年1月には4ナノメートル規模の先端チップの製造を開始しており、インテルとの競争が激化する可能性があります。

トランプ政権の政策と米国の半導体産業

バンス副大統領の発言は、トランプ政権がインテルのような企業にとって、規制の緩和や国内工場の建設促進を支援する可能性を示唆しています。現在、インテルは新しい最高経営責任者(CEO)を探している段階ですが、政府の政策が同社の成長を後押しすることが期待されています。

トランプ大統領は、エヌビディア(NVDA)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、ブロードコム(AVGO)、マーベル・テクノロジー(MRVL)、アップル(AAPL)、クアルコム(QCOM)などの米国企業に対し、インテルとより緊密に協力するよう促す可能性があります。

これらの企業はAIチップを開発・販売しており、その多くがTSMCの製造能力を利用しています。しかし、米国内での製造を強化する動きが進めば、インテルのファウンドリー事業の拡大にとって追い風となる可能性があります。

今後の展望

インテルの株価急騰は、政府の支援と米国内での半導体製造強化の期待が背景にあります。今後、トランプ政権の政策やチップス法の行方に注目が集まる中、インテルの動向が市場に大きな影響を与える可能性があります。

特に、AIチップ市場での競争が激化する中で、インテルが他社向けのチップ製造をどのように強化していくかが重要なポイントとなります。投資家にとって、今後の政府の政策や半導体市場の動向を注視することが求められます。

*過去記事「インテルの第4四半期売上が予測を上回るも、競争力強化には課題

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG