飲料メーカーのコカ・コーラ(KO)の株価が2月11日の米国市場で上昇しました。マーケットが開く前に発表した第4四半期決算で売上と利益が市場予想を上回ったことが背景にあります。
売上・利益が市場予想を超える好決算
コカ・コーラの第4四半期売上は115億ドルとなり、ウォール街の予想である107億ドルを上回りました。また、世界全体のケース販売数量は前四半期の減少から回復し、2%増加しました。さらに、既存事業の売上は14%増加しており、堅調な成長を示しています。
これを受けて、コカ・コーラの株価は11日の昼前の段階で3.44%上昇し、66.77ドルとなりました。
コカ・コーラCEOのコメント
ジェームズ・クインシーCEOは、第4四半期の好調な業績について、「全天候型戦略」が成功していると説明しました。同社はグローバルな規模とローカル市場の専門知識を活かし、今後の膨大な成長機会を捉えることができると述べています。
また、2025年通年の既存事業売上成長率を5%〜6%とするガイダンスを発表しました。
2024年の業績予測
コカ・コーラは、2024年の1株当たり利益(EPS)を2.88ドルから2%〜3%成長すると予測しています。しかし、ファクトセットのアナリスト予想では2.95ドルの利益となっており、やや慎重な見通しを示していることが分かります。
価格上昇と消費者需要
前回の四半期報告によると、インフレ圧力が続く中でも、コカ・コーラ製品への消費者需要は底堅く推移しました。販売された製品の平均価格は10%上昇しましたが、ユニットケースの数量は1%減少しています。
米国市場の回復とフェアライフの成長
BNPパリバ・エクセーヌのシニア・リサーチ・アナリスト、ケビン・グランディ氏は、米国の個人消費が正常化することで、コカ・コーラの国内業績が加速すると述べています。特に、プレミアムミルク・プロテインシェイクブランド「フェアライフ」の成長が重要な要素となっています。
フェアライフは、コカ・コーラの米国事業の約5%を占めるブランドですが、2024年の売上成長率の35%に貢献しました。さらに、今後5年間は毎年20%の成長が続くと予想されています。
為替の影響と懸念材料
コカ・コーラにとって、ドル高が逆風となる可能性があります。米ドル指数は、米ドルの価値を通貨バスケットに対して測定する指標ですが、2024年9月末から約8%上昇し、2025年1月時点で約108に達しています。
コカ・コーラのようなグローバル企業にとって、売上の多くを海外で稼ぐため、ドル高は業績に悪影響を及ぼす要因となります。ファクトセットのデータによると、2024年のコカ・コーラの売上の約3分の2が海外市場からのものでした。
経営陣は、第4四半期の調整後の1株当たり利益(EPS)に対して、買収・売却・構造改革による3%から4%のマイナス影響に加え、為替による10%の逆風があると見込んでいます。さらに、為替の影響は2025年も続くと予想しています。
株価の動向と政治リスク
コカ・コーラの株価は過去1年で7%上昇しました。しかし、2024年9月の直近ピークからは12.5%下落しており、投資家は慎重な姿勢を取っています。
また、ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏が保健福祉省の長官に就任した場合、同社の事業に影響を与える可能性があると懸念されています。ケネディ氏は、高度に加工された食品や砂糖入り飲料を強く批判しており、アメリカ人の肥満率や健康問題の原因と指摘しています。そのため、同氏が推進する政策によって、コカ・コーラの売上に影響が出る可能性があります。
しかし、グランディ氏は、コカ・コーラの主要ブランドのほとんどが「糖分ゼロ」製品を提供しているため、政治的なリスクが高まった場合でも、同社は有利な立場にあると指摘しています。
まとめ
コカ・コーラの第4四半期決算は市場予想を上回り、株価は上昇しました。2025年の売上成長率は5%〜6%と予想されており、米国市場の回復やフェアライフの成長が追い風となると見られます。しかし、ドル高の影響や政治リスクが潜在的な懸念材料となっているため、今後の動向を注視する必要があります。