マグニフィセント・セブンの時代の終焉?大手ハイテク株の見直しが必要な理由

2025年に入り、米国株式市場は新たな局面を迎えています。これまで市場をけん引してきた「マグニフィセント・セブン(M7)」と呼ばれる大手ハイテク企業の勢いが鈍化し、一部の投資家や専門家の間で、これらの銘柄の比率を引き下げるべきだという声が上がっています。本記事では、なぜM7のパフォーマンスが停滞しているのか、今後の見通しと投資戦略について詳しく解説します。

M 7の2025年のパフォーマンス

ラウンドヒルのマグニフィセント・セブンETFは、アルファベット(GOOG)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、アップル(AAPL)、メタ・プラットフォームズ(META)、マイクロソフト(MSFT)、エヌビディア(NVDA)、テスラ(TSLA)という7つの巨大テクノロジー企業の株価を追跡しています。

しかし、2025年に入ってからのM7の株価は1%強の上昇にとどまっており、S&P500種株価指数の2.6%、ナスダック総合株価指数の3%以上という上昇率と比較すると、見劣りする結果となっています。かつてM7が2桁の成長を誇っていた時代と比べると、明らかに勢いを失っています。こうした状況を受け、トリバリエイト・リサーチの創設者であるアダム・パーカー氏は、M7の比率を引き下げるべき時期に来ていると指摘しています。

M7の市場における影響力とリスクの増加

M7の7銘柄は、S&P500の時価総額の約3分の1を占めています。さらに、これらの銘柄のベータ調整後エクスポージャー(株式の予想変動率を加味した市場リスク)は45%近くに達しており、過去25年間の最高水準に迫っています。

つまり、M7をマーケット・ウエイトで保有するポートフォリオ・マネージャーは、ファンドのベータ調整後エクスポージャーの半分近くをこの7銘柄に投資していることになります。これは、ポートフォリオのボラティリティを大幅に高める要因となり得ます。

AI競争による資本支出の急増

もう一つの懸念点は、M7企業の資本集約度の上昇です。特に、人工知能(AI)技術の競争が激化する中、これらの企業は研究開発費の増加を余儀なくされています。

パーカー氏の計算によると、M7の最新の設備投資予測と市場予測に基づくと、売上に対する設備投資比率は2025年末までに過去最高の14.5%に達するとされています。アルファベットとメタ・プラットフォームズの決算発表に対する市場の反応を見る限り、投資家は一部の企業の巨額投資に対しては比較的寛容であるものの、ディープシークのパニックのような突発的な出来事が発生すれば、市場センチメントが急変する可能性があります。

投資家は今後、これらの企業が行っている巨額の資本支出がどのようなリターンを生むのかを慎重に見極める必要があります。

M7のバリュエーションは依然として割高

現在のM7のバリュエーションは、過去の水準と比較しても依然として高水準にあります。一般的に、このような高いバリュエーション、ベータ値、資本支出は、将来の売上成長が安定して持続するという前提のもとで正当化されるものです。

しかし、AI技術の急速な進化やソフトウェア市場の変化のスピードを考慮すると、M7企業の将来の見通しはこれまでほど確実ではなくなってきています。そのため、一部の投資家はこれらの銘柄の比率を見直すべきかもしれません。

それでもM7は完全に手放すべきではない

パーカー氏は、M7の完全な売却を推奨しているわけではありません。ただし、ベータ調整後のエクスポージャーが時価総額ウェイトに見合うレベルになるようにポートフォリオのバランスを調整することは理にかなっていると述べています。

実際、ウォール街の多くのアナリストは、依然としてM7銘柄に対して強気の姿勢を維持しています。特に、テスラを除く6銘柄に関しては強気の見方が顕著です。ファクトセットのデータによると、アップルの評価は「買い」またはそれに相当するものが59%ですが、それ以外の5銘柄では80%以上のアナリストが強気の評価をしています。さらに、アルファベット、アマゾン、マイクロソフト、エヌビディアに至っては、弱気の評価が一つもありません。

このことからも分かるように、M7は依然として市場の重要な構成要素であり、長期的な成長ポテンシャルを持っています。しかし、短期的にはボラティリティの上昇が予想されるため、ポートフォリオの調整を検討するのも一つの戦略となるかもしれません。

まとめ:M7の比率を適切に管理しつつ、投資機会を探る

2025年に入り、M7の成長ペースが鈍化しているのは明らかです。高いバリュエーションやAI競争による資本支出の増加、市場全体のリスク上昇などが影響していると考えられます。

しかし、一方で、テクノロジーセクターの成長力は依然として健在です。投資家は、M7の比率を慎重に調整しつつ、市場のボラティリティを利用して押し目買いのチャンスをうかがうことが重要になります。

ボラティリティが高い時期こそ、投資の好機でもあります。今後の市場動向を注視しながら、柔軟な投資戦略を取ることが成功への鍵となります。

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