アマゾン・ドット・コム(AMZN)の株価は、第4四半期の好調な決算発表後にもかかわらず、投資家の期待を下回る結果となり、下落しました。しかし、アナリストの中には数か月後の株価回復を予想する声もあります。
アマゾンの株価は決算後に4.1%下落
アマゾンは2月6日の市場終了後に、第4四半期の決算を発表しました。売上は市場予想を上回りましたが、翌7日の株価は4.1%下落しました。この下落幅は、2024年12月18日以来最大となりました。
最近の市場では、好決算を発表しただけでは、評価の高いハイテク株の上昇を後押しするのに十分ではないことが分かっています。特に、アマゾンのクラウド部門であるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の成長率が市場予想を下回ったことが失望感を生みました。さらに、2025年第1四半期の売上見通しが期待に届かなかったことも影響しています。
加えて、アマゾンの経営陣は、AIデータセンターの強化を進めるために、2025年には約1,000億ドルの設備投資を計画していることを明らかにしました。これにより、短期的な利益への影響が懸念されています。
設備投資の増加と成長鈍化が短期的な圧力に
Direxionのシニア・ビジネス・アナリストであるエマ・バッケン氏は、アマゾンの2025年第1四半期の売上成長率について、「上場以来、最も低い水準になる可能性がある」と指摘しました。
また、今年度の大規模な設備投資と、来期の売上見通しの引き下げは、短期的な株価の下落につながる可能性があるとの見方を示しています。
アナリストの多くは株価回復を予測
一方で、アマゾンの長期的な成長に対して楽観的な見方をするアナリストもいます。
ニュー・ストリート・リサーチのアナリストであるダン・サーモン氏は、アマゾンの目標株価を234ドルから280ドルに引き上げ、引き続き「買い」の格付けを維持しました。同氏は、AWSの売上成長が2025年の最大の成長要因になると考えています。
さらに、カスタムAIチップ「トレーニウム」の成長や、新たなAIショッピングツール「ルーファス」の進化が、アマゾンの株価を押し上げる可能性があると述べています。
モネス・クレスピ・ハルトのアナリストであるブライアン・ホワイト氏も、決算発表後にアマゾンの目標株価を245ドルから265ドルに引き上げました。同氏は、「目先の株価の下落は買いのチャンス」と考えています。
ホワイト氏は、アマゾンが今後もクラウド事業を拡大し、デジタル広告分野を強化し、生成AIを活用した革新を進めると予想しています。また、地域フルフィルメントネットワークの効率化や、コスト削減施策による利益率の向上も期待されています。
アマゾンの株価は今後どうなるのか?
アマゾンの株価は、2月10日の米国市場で1.81%上昇し、233.03ドルとなりました。過去1年で35%の上昇を記録しており、長期的な成長を期待する投資家も多くいます。
短期的には、設備投資の増加やAWSの成長鈍化が懸念材料となりますが、AI関連技術の進化やデジタル広告の拡大など、成長の可能性も大きいと見られています。今後のアマゾンの動向に注目が集まります。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN