2025年はM&Aの年?投資家が注目すべき買収候補企業5選

  • 2025年2月9日
  • 2025年2月9日
  • BS余話

株式投資家にとって、2025年はM&A(企業の合併・買収)が活発化し、大きな利益をもたらした年として振り返ることになるかもしれません。カラモス・インベストメンツのシニア・ポートフォリオ・マネージャーであるブランドン・ネルソン氏は、「M&A市場にとって好条件がそろっている」と述べています。

実際に、ここ数週間の間に イントラ・セルラー・セラピー(ITCI)イナリ・メディカル(NARI)アコレード(ACCD)H&Eエクイップメント・サービシズ(HEES) の買収が発表され、それぞれの株価が50%から100%上昇しました。これは、M&Aブームの始まりに過ぎないと考えられています。

M&A市場の活発化の背景には、以下の3つの要因があると指摘されています。

米国M&A市場が活発化する3つの要因

米国連邦取引委員会(FTC)の指導部交代

バイデン政権時代にM&Aに対して厳しい姿勢をとっていたリナ・カーン氏に代わり、新たにアンドリュー・ファーガソン氏がFTCの委員長に就任しました。これにより、規制の厳しさが和らぎ、企業間のM&Aがスムーズに進むことが期待されています。

ネルソン氏は、「FTCの交代によって、市場環境は以前ほど敵対的ではなくなってきている」と述べています。

「アニマル・スピリッツ」の台頭

ハーバー・キャピタル・アドバイザーズのポートフォリオ・マネージャーであるジャスティン・メン氏は、「企業経営陣のM&Aへの意欲が高まっている」と指摘しています。現在の景気は安定しており、トランプ政権下での規制緩和の見通しもM&Aを後押ししています。

また、JPモルガン・チェース(JPM)、ゴールドマン・サックス(GS)、モルガン・スタンレー(MS)の投資銀行部門の手数料増加も、M&A活動の活発化を示しています。

信用状況の緩和

投資マネージャーであるサンジャック・アルファのアンディ・ウェルズ最高投資責任者(CIO)は、米連邦準備制度理事会(FRB)が行った商業・産業ローンの需給調査において、融資基準を引き締めた金融機関がゼロであることを指摘しました。これにより、企業はM&Aを行うための資金調達が容易になり、M&Aの加速が期待されています。

買収候補として注目される5社

投資家が注目すべき買収候補として、以下の5社が挙げられています。これらの企業は、買収がなくても堅調な成長を遂げると考えられているため、投資先としても魅力的です。

メイプルベア(CART)

「インスタカート」として事業を展開する北米の食料品テクノロジー企業メイプルベアは、ウォルマート(WMT)との相乗効果が期待される企業です。モトリーフールのシニア投資アナリストであるエミリー・フリッペン氏は、「ウォルマートは、インド市場進出のためにEコマース企業のフリップカートに多額の投資を行ったように、インスタカートの買収にも関心を持つ可能性がある」と指摘しています。

また、インスタカートは利益率を拡大し、フリーキャッシュフローも安定しているため、今後も株価が好調に推移する可能性が高いと予想されています。

ロク(ROKU)

ロクは、家庭用テレビでストリーミングサービスを視聴できる機器を提供している企業です。同社は広告売上や配信手数料を主な売上源としており、2024年9月時点でロクのアクティブ世帯数は前年比13%増の8,550万世帯に達しています。

サンジャック・アルファのウェルズ氏は、「ロクは、消費者との関係を押し付けがましくなく築く方法を確立しており、アマゾン(AMZN)に対抗するためにホームエンターテインメント分野を強化したいウォルマートにとって魅力的な買収候補になる」と述べています。

*過去記事はこちら ロク ROKU

バイキング・セラピューティクス(VKTX)

バイキング・セラピューティクスは、減量治療薬の開発を手掛けるバイオテクノロジー企業です。インフレ抑制法の影響でメディケアの薬価交渉対象となる可能性があるものの、パイプラインの強さから将来的な成長が期待されています。

ウェルズ氏は、「独占禁止法の懸念がなければ、すでに買収されていた可能性が高い」と述べており、今後の展開に注目が集まります。

*過去記事「バイキング・セラピューティクス:肥満治療薬市場で10倍株を狙える理由

ADMAバイオロジックス(ADMA)

ADMAバイオロジックスは、免疫力が低い患者向けに血漿ベースの抗体製品を販売する企業です。特に、主力製品であるアセニブの好調により、売上は大幅に増加しており、2025年の売上は4億8,000万ドル、2023年の2億5,800万ドルを大きく上回ると予測されています。

ネルソン氏は、「ADMAバイオロジックスは、すでに強い成長トレンドにあり、多くの企業が買収を検討する可能性がある」と述べています。

ラッシュ・ストリート・インタラクティブ(RSI)

オンラインゲーム企業であるラッシュ・ストリート・インタラクティブは、売上の3分の2をカジノゲームから得ており、スポーツベッティングよりも利益率が安定しています。さらに、コロンビア、メキシコ、ペルーなど海外市場にも進出しています。同社の成長性から、大手ゲーム企業にとって魅力的な買収ターゲットとなる可能性があります。

2025年はM&Aが活発化する可能性が高く、投資家にとって魅力的な市場になるかもしれません。適切な戦略を持ち、M&A関連銘柄への投資を検討してみるのも一つの選択肢となりそうです。

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