クアルコムとアームが切り開くエッジAIの未来!AIスマホ市場の行方とは?

  • 2025年2月7日
  • 2025年2月7日
  • BS余話

米国株式市場では、中国の新興企業の台頭による懸念が広がり、1兆ドル近い市場価値が失われました。しかし、2025年の決算シーズンでは、多くのチップ・テクノロジー企業が低コストAIの開発が業界にとってプラスであることを示しました。中でも、クアルコム(QCOM)アーム・ホールディングス(ARM)は、エッジAIの発展による恩恵を強く受ける企業として注目されています。

クアルコムのエッジAI戦略と業績

クアルコムは携帯電話向けのチップを主力事業としていますが、エッジAIの進化により、より多くのコンピューティングがクラウドからデバイスへと移行することが期待されています。クアルコムの最高経営責任者(CEO)であるクリスチアーノ・アモン氏は、決算説明会で、ディープシークのAIモデルがリリースから数日以内に同社のチップを搭載したスマートフォンやパソコンで稼働したことを報告しました。

同氏は、「ディープシーク-R1のようなモデルが、より迅速に開発され、より小型で高性能かつ効率的になり、デバイス上で直接実行できることが実証された」と述べています。これにより、AIスマートフォンの進化が加速する可能性があります。

ただし、クアルコムの株価パフォーマンスは、エヌビディア(NVDA)のような同業他社と比べて遅れを取っています。エッジAIの成長によりスマートフォンの販売が増加することが期待されていますが、現時点では市場全体の成長が緩やかであるため、まだその恩恵を十分に受けていません。

とはいえ、2025年第1四半期におけるクアルコムの携帯電話端末の売上は13%増加しました。これは、International Data Corporationが推計した2024年最終四半期の世界携帯電話出荷台数の成長率2.4%を大きく上回る数値です。特に、AI機能を備えたスマートフォンの普及が、プレミアムモデルの販売価格を押し上げる要因となっています。

一方で、クアルコムにとってリスクとなるのは、2025年秋からアップルが同社の5Gチップの採用をやめ、自社開発のチップに移行することです。この影響により、2025年後半には売上の成長が鈍化する可能性が指摘されています。

メリウス・リサーチのアナリストであるベン・ライツェス氏は、クアルコム株の格付けを「ホールド」に据え置きながら、目標株価を180ドルから190ドルに引き上げました。ただし、クアルコムの株価は2月6日の米国市場で3.72%下落し、169.32ドルとなりました。

*過去記事「【速報】クアルコムの決算が市場予想を大幅超え!それでも株価下落の理由とは?

アームの戦略とエッジAIの可能性

アームのレネ・ハースCEOは、ディープシークがより低コストなAIの実現を示したことについて「非常に素晴らしい」と評価しています。同氏は、「エヌビディアのGrace Blackwellチップのような高性能製品は素晴らしいが、スマートフォンやイヤホン、車載システムには搭載できない。しかし、アームはこれらすべての分野で存在感を発揮している」と述べています。

アームはクアルコムほどスマートフォン市場に依存していません。携帯電話向けの設計ライセンスビジネスを展開する一方で、ハイエンドのクラウド・サーバープロセッサーやAI対応パソコンにも進出し、事業の多角化を進めています。それでも、AIスマートフォンの市場が成長すれば、アームの最新チップ技術「Armv9」の採用が進むことが期待されます。

レイモンド・ジェームズのアナリストであるスライニ・パジュリ氏は、「AIエージェントとディープシークのような効率的なAIモデルの登場は、エッジAI分野に強みを持つアームにとって大きな追い風になる」との見解を示しました。

パジュリ氏はアーム株の目標株価を160ドルから175ドルに引き上げ、「アウトパフォーム」の格付けを維持しました。

アームの株価は2月6日の米国市場で3.34%下落し、167.47ドルとなりました。

*過去記事「アームの決算は市場予想を上回るも株価下落、その背景とは?

まとめ

クアルコムとアームは、エッジAIの進展によって大きな成長の可能性を秘めています。クアルコムはスマートフォン市場での売上拡大に成功しているものの、アップルの自社チップ採用により今後の業績には注意が必要です。一方、アームはAIエージェントやエッジAI技術の進化を追い風に、さらなる市場拡大を目指しています。

2025年のテクノロジー業界は、AIの発展と市場の変化によってさらなる変革の年となりそうです。今後のクアルコムとアームの動向に注目が集まります。

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