アマゾン(AMZN)の株価は、2025年のAIインフラへの多額の設備投資計画と第1四半期のガイダンスが市場予想と異なった影響で、2月7日のプレマーケットで3%下落しました。プレマーケットでは231.80ドルを記録し、為替変動が売上予想に影響を与えたことも投資家の懸念材料となっています。
一方で、アマゾンの決算は好調であり、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)の成長が引き続き堅調であることから、多くのアナリストは今後の回復を見込んでいます。
1Q売上予想が市場予想を下回る
アマゾンは2025年第1四半期の売上を1,510億ドル〜1,550億ドルと見込んでいます。しかし、市場予想の1,580億ドルには届かず、さらに為替変動による21億ドルの影響が想定されています。これが市場の期待を下回った要因の一つと考えられています。
設備投資の大幅増加が市場に与えた影響
アマゾンは、2025年の設備投資額を1,000億ドルあまりとし、これは市場予想の800億ドル〜850億ドルを大幅に上回る規模です。マイクロソフト(MSFT)やメタ・プラットフォームズ(META)と同様に、アマゾンもAI関連のインフラ強化に積極的に投資する方針を示しました。
この投資により、AWSの成長がさらに加速すると見られていますが、一方で短期的には利益圧迫要因と捉えられ、株価の下落を招いた要因の一つとなっています。
アマゾンに対するウォール街の評価
ピボタル・リサーチの見解
ピボタル・リサーチのアナリスト、ジェフリー・ウロダーザック氏は、アマゾンの株価について「買い」の評価を据え置き、目標株価を260ドルとしています。同氏は、AWSの売上が今後5年間で全体の売上の17%から35%へと成長すると予測し、広告事業の急成長や国際市場での事業拡大が利益率を押し上げると指摘しています。
DAダビッドソンの見解
DAダビッドソンのアナリスト、ギル・ルリア氏も「買い」の評価を維持し、目標株価を235ドルから280ドルへと引き上げました。同氏は、AWSがAI関連サービスの需要拡大に伴い、マイクロソフトのアジュールを追い越す成長を遂げつつある点に注目しています。
JPモルガンの見解
JPモルガンのアナリスト、ダグ・アンマス氏は、アマゾンの設備投資が将来的な成長の礎となると指摘し、目標株価を270ドルとしました。アマゾンは、AIをクラウド以来の最大のチャンスと捉え、2025年の設備投資の大半を技術インフラの強化に充てる方針です。同氏は、これがAWSの長期的な成長にとって非常にポジティブな要素になると述べています。
AWSの好調な成長と今後の見通し
アマゾンの決算の中でも特に注目されたのはAWSの業績です。
- AWSの売上は3四半期連続で19%増加
- AWSの営業利益率は前年同期の29.6%から46.9%へ向上
- 2四半期連続で実店舗の売上が増加
- 四半期の営業利益は過去最高の212億ドルを記録
これらの指標は、AWSが引き続きアマゾンの成長エンジンであることを示しており、設備投資の影響で短期的に株価が下落しても、長期的にはポジティブな影響をもたらすと考えられています。
AIとクラウド事業がもたらす今後の成長機会
アマゾンは、AIの普及がクラウド事業の成長を加速させると見ています。ウロダーザック氏は、「2025年後半までに、AIの採用が進むことでクラウド事業が再加速する可能性が高い」と述べています。
また、アマゾンのCEOであるアンディ・ジャシー氏は、AWSの推論コストが時間とともに低下することで、顧客のAI導入が進み、結果的にAWSへの支出が増加するとの見解を示しています。これは、かつてAWSがクラウドサービスの価格を134回引き下げながらも、全体の売上を拡大させたことと同じ原理に基づいています。
アマゾンの長期的な成長に対する期待
短期的には、設備投資の急増や為替の影響で株価が不安定な動きを見せる可能性があります。しかし、長期的に見れば、アマゾンのクラウド、広告、eコマース事業が引き続き成長を遂げると考えられています。
特にAWSは、AIインフラの需要増加によってさらなる成長を遂げると期待されており、現在の株価の下落は長期投資家にとっては買いの機会となる可能性があります。
アマゾンの今後の成長を見据える上で、AIとクラウドの進展が重要な鍵を握ることは間違いありません。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN