アマゾン決算発表!AWSの成長鈍化と2025年見通しに投資家が懸念

アマゾン(AMZN)が2月6日に発表した2024年第4四半期の決算は、同社のビジネスの多面的な側面を示しました。ウォール街のコンセンサス予想を上回る業績を発表したにもかかわらず、株価は時間外取引で下落しました。

第4四半期決算の概要

アマゾンの1株当たり利益は1.86ドルとなり、前年同期比で86%増加しました。これは、ウォール街の予想である1.49ドルを上回る結果となりました。同四半期の売上は1,878億ドルに達し、前年同期比10%増となりました。市場予想の1,873億ドルをわずかに上回る結果です。

クラウド事業(AWS)の成長と課題

アマゾンのクラウド事業であるAWSの売上は288億ドルで、前年同期比19%増加しました。ただし、市場予想の289億ドルにはわずかに届きませんでした。AWSはアマゾンの売上全体の15%を占めていますが、営業利益の半分以上を占める重要な事業です。最新の四半期におけるAWSの営業利益率は36.9%となっています。

クラウド市場全体では、同業他社の動向が注目されています。マイクロソフト(MSFT)は、1月29日にクラウドプラットフォーム「アジュール」とその他のクラウドサービスの売上が31%増加したと発表しました。一方、グーグルの親会社であるアルファベット(GOOGL)は、第4四半期のクラウド売上が市場予想を下回ったことを発表しました。

広告事業の成長

アマゾンの広告事業は、同社のもう一つの急成長分野です。第4四半期の広告売上は前年同期比18%増の173億ドルとなりました。しかし、アナリスト予想の174億ドルにはわずかに届きませんでした。

2025年第1四半期の見通し

アマゾンの第1四半期の売上予想は1,533億ドルで、市場予想の1,586億ドルを大きく下回りました。この結果、売上予想の未達は3.7ポイントとなりました。営業利益の見通しは160億ドルで、市場予想の183億ドルを下回る結果となっています。

決算発表を受け、アマゾンの株価は時間外取引で5%近く下落しています。

AI投資とテクノロジーインフラの強化

アマゾンは、AI分野への投資を積極的に行っています。経営陣は2024年の決算説明会で、同社の2025年の資本支出を750億ドルと見込んでいることを明らかにしました。この投資の大部分は、テクノロジーインフラの拡充に充てられる予定です。

また、他のハイテク企業も同様にAI分野への投資を進めています。メタ・プラットフォームズ(META)、マイクロソフト、アルファベットは、ここ数日間でAI技術に数十億ドルを投じる計画を発表しました。

米中関税問題の影響

アマゾンの収益見通しには、関税政策の影響も考慮される必要があります。ドナルド・トランプ大統領は、週末に中国に対して10%、カナダとメキシコに対して25%の関税を課すことを発表しました。3日にカナダとメキシコへの関税は一時停止されましたが、中国への関税は発効しました。

アマゾンの最新の10-Kレポートによると、中国を拠点とするセラーがサードパーティーセラーサービスや広告売上の大部分を占めています。そのため、規制や貿易制限はアマゾンの業績に悪影響を及ぼす可能性があるとしています。

アマゾンの株価動向

アマゾンの株価は2025年に入ってから8.9%上昇しており、S&P500(SPX)の3%上昇を上回るパフォーマンスとなっています。現在、アマゾンの株価は、今後12ヶ月間の予想利益の37.8倍で取引されています。

今後の展望

BofA証券のアナリストであるジャスティン・ポスト氏は、アマゾンの株を「買い」と評価し、目標株価を255ドルに設定しました。同氏は、「クラウド需要は第4四半期も堅調に推移した可能性が高く、強力なAI需要が2025年まで続くと予想している」と述べています。

一方、ハイテク業界の競争環境も変化しています。中国の新興企業ディープシーク(DeepSeek)が、ChatGPTに類似したAIモデルを開発したと報じられています。アナリストの一部は、ディープシークの技術革新が将来的にクラウドコストの削減につながる可能性があり、アマゾンにとってもメリットがあると考えています。

アマゾンのAIプラットフォームはオープンソースモデルに対応しており、AIを活用した製品やサービスの開発コストを削減することができます。このため、長期的にはアマゾンがディープシークの技術革新から利益を得る可能性もあると指摘されています。

まとめ

アマゾンの第4四半期決算は、売上・利益ともに市場予想を上回る結果となりましたが、第1四半期の売上見通しが予想を下回ったことから、株価は時間外取引で下落しました。AWSや広告事業は引き続き成長を続けていますが、クラウド市場の競争や関税問題など、今後の不確実性も指摘されています。

AI投資を積極的に行うアマゾンは、今後の成長に向けた基盤を築いています。2025年も引き続き、AWSの成長、広告事業の拡大、そしてAI関連の戦略がアマゾンの株価に大きな影響を与えることになりそうです。

*過去記事はこちら アマゾン AMZN

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