エヌビディア(NVDA)の主要パートナーであるスーパー・マイクロ・コンピュータ(SMCI)が、エヌビディアの先進的なBlackwellチップを搭載した新しいAIデータセンター・システムの出荷準備が整ったと発表しました。このニュースを受けて、エヌビディアの株価は2月5日の米国市場で一時5.1%上昇し、124.64ドルを記録しました。
スーパーマイクロが発表したAIデータセンター・システムとは?
スーパーマイクロの新製品は、AIデータセンター開発者がBlackwellチップを大量に稼働させるために必要な中核インフラで構成されています。同社は5日の声明で、「完全な生産可能性」に達したと発表しました。
このニュースは、エヌビディアのサプライチェーンに関する懸念を和らげる要因となっています。エヌビディア自身も、より高度なAIチップの展開においてサプライチェーンの強化が課題であると指摘していました。そのため、スーパーマイクロコンピュータの発表は、エヌビディアの事業成長にとって重要な進展といえます。
エヌビディアが直面するサプライチェーン強化の課題
カリフォルニア州サンタクララを拠点とするエヌビディアは、新しいBlackwellチップの生産を実現するため、サプライチェーンを強化する必要があります。現在、チップの需要は供給を上回っており、特にカスタム部品の調達に関する複雑な問題が指摘されています。
エヌビディアの最高経営責任者(CEO)であるジェンスン・フアン氏は、2024年11月に行われたアナリストとの電話会議で、サプライチェーンの課題について言及しました。同会議では、SKハイニックス、TSMC(TSM)、フォックスコン・テクノロジー・グループ、そしてスーパーマイクロの名前が挙げられました。これらの企業との連携によって、エヌビディアはサプライチェーンの強化を進めています。
スーパーマイクロの新製品がもたらす影響
Blackwellベースの製品が利用可能になったことで、スーパーマイクロにとっても明るい話題となっています。同社は2024年12月に財務および法務部門のリーダーを交代させると発表しました。これは、元従業員が連邦裁判所で同社の売上の過大計上を申し立てたことを受けた対応でした。
また、空売り筋のヒンデンブルグ・リサーチが発表した調査報告書では、スーパーマイクロに関する以下の問題点が指摘されています。
- 会計上の明白な赤信号
- 未公表の関連当事者取引の証拠
- 制裁と輸出管理の失敗
- 顧客問題
これらの問題を受けて、同社の監査役であるアーンスト・アンド・ヤングLLPは、ガバナンスと透明性に懸念があるとして辞任しました。
米司法省による調査と今後の展望
ヒンデンブルグ・リサーチの報告書発表後、スーパーマイクロは米司法省の調査にも直面しています。同社の透明性やガバナンスの強化が求められる中、今回のBlackwellベースのAIデータセンター・システムの出荷が同社の信頼回復につながるかが注目されます。
エヌビディアのサプライチェーン強化と、スーパーマイクロの新製品出荷によって、今後のAI市場はさらに活発になることが予想されます。引き続き、両社の動向を注視していく必要があります。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA スーパー・マイクロ・コンピュータ SMCI