アルファベット(GOOGL)の株価が2月5日の米国市場で大きく下落しました。同社の2025年の設備投資計画が市場予想を大幅に上回ったことが要因です。しかし、この投資によって他の多くの企業が恩恵を受ける可能性があります。特に、エヌビディア(NVDA)やブロードコム(AVGO)といった半導体関連銘柄が大きく上昇しました。
アルファベットの設備投資計画と市場の懸念
アルファベットは2025年の設備投資額を750億ドルと発表しました。これは市場予想を150億ドル上回り、前年と比べて約45%の増加です。アルファベットに加え、メタ・プラットフォームズ(META)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)の設備投資を合計すると、今年は数千億ドル規模となる見込みで、2桁の成長率が予想されています。
しかし、こうした投資はアルファベットにとってフリーキャッシュフローの減少につながり、売上にも負担を与える可能性があります。同社の減価償却費は大幅に増加し、市場は人工知能(AI)分野における競争力維持のために、アルファベットが十分な投資収益を確保できるのかを懸念しています。
AI競争と中国のディープシークの影響
投資家は2025年の業績見通しを慎重に見極めていますが、アルファベットの積極的な投資姿勢は、中国のAI企業ディープシークが大きな脅威ではないことを示唆しています。一部の市場関係者は、ディープシークが低コストでAIを提供することで、アルファベットやマイクロソフトが投資計画を縮小する可能性を指摘していました。しかし、今回の発表からは、米国のテクノロジー企業が引き続き積極的にデータセンターへの投資を進める姿勢がうかがえます。
データセンター需要の拡大と半導体企業の恩恵
アルファベットの設備投資計画の発表を受け、AI関連ハードウェアを製造する企業にとっては好材料となりました。設備投資の加速は、半導体やデータセンター、関連製品の需要増加を意味します。そのため、エヌビディアをはじめとする半導体企業の株価が上昇しました。
エヌビディアの株価は4.21%上昇しました。また、AIチップの需要増加に伴い、ブロードコムは4.3%上昇しました。同社は2024年の売上532億ドルのうち、5分の1以上をAIチップから得ており、昨年のAI半導体売上は200%以上増加しています。
マイクロン・テクノロジー(MU)の株価も3.24%上昇し、上場投資信託(ETF)であるiシェアーズ・セミコンダクター(SOXX)の上昇率を上回りました。マイクロンはエヌビディアのAIチップに接続する高帯域幅メモリの販売を強化していますが、AI関連の売上はまだ限定的です。そのため、他のAI関連銘柄に比べると株価の上昇幅は控えめでした。
半導体企業と関連銘柄の動向
アーム・ホールディングス(ARM)の株価は6.82%上昇しました。同社はエヌビディアのチップ向けにCPUを販売し、半導体企業やスマートフォンメーカーにチップ設計をライセンス提供しています。アナリストは、アームの売上は今後数年間、堅調に伸び続けると予想しています。
一方、アンフェノール(APH)の株価は当初上昇しましたが、その後下落しました。エヌビディアのチップに接続するコネクターの販売を強化しているものの、全体の売上に占める割合はまだ大きくありません。市場は、ディープシークの影響を懸念し、先週1ヶ月ぶりの安値をつけましたが、その後持ち直しています。
ファクトセットによると、アナリストはエヌビディア向けのコネクタ売上がアンフェノールの総売上183億ドルのうち、10億ドル強を占めると予想しています。同社の主力事業は自動車関連ですが、アルファベットの設備投資増加は、アンフェノールにとってもプラス材料となる可能性があります。
データセンター関連企業の動き
データセンター向け冷却装置を主力とするバーティブ・ホールディングス(VRT)の株価は7%上昇しました。一方、データセンター売上への依存度が低いイートン(ETN)の株価は、あまり動きがありませんでした。
コーニング(GLW)とエヌベント・エレクトリック(NVT)もAI関連売上があり、2%と1%の上昇となりました。AIを活用したデータセンターの需要が拡大する中、これらの企業も引き続き恩恵を受けることが期待されています。
まとめ
アルファベットの積極的な設備投資は、短期的には株価に悪影響を与えましたが、AI関連ハードウェアやデータセンターの成長を後押しする要因となりました。その結果、エヌビディアやブロードコム、アーム・ホールディングスといった半導体関連企業の株価が上昇しました。
一方で、アンフェノールやイートンなど一部の銘柄は売上構成の影響もあり、株価の動きが不安定となっています。しかし、データセンター向けの投資が依然として活発であることから、今後も半導体やデータセンター関連企業への需要は高まり続ける可能性があります。
AIの普及が進む中、企業のコンピューティング能力の増強に関連する銘柄は、引き続き注目すべき投資対象となりそうです。