2025年の半導体市場はどうなる? インフィニオンが見せた明るい未来

  • 2025年2月5日
  • 2025年2月5日
  • BS余話

半導体業界では、供給過剰と需要の低迷が続き、多くの企業が厳しい状況に直面しています。しかし、ドイツのインフィニオン・テクノロジーズ(IFNNY)は、この逆風の中でも成長の可能性を示しました。

インフィニオンは、為替レートの好転と中国市場でのシェア拡大を背景に、2025年の売上が減少するどころか、わずかに増加する可能性があると予測しています。この発表を受け、同社の株価はこの9ヵ月で最大の上昇を記録しました。他の競合企業が軒並み期待外れの決算を発表する中での発表だったため、市場の注目を集めています。

競合他社が苦境に直面する中、インフィニオンが示した成長の兆し

半導体業界では、オランダのNXPセミコンダクターズ(NXPI)やイタリアのSTマイクロエレクトロニクス(STM)、米国のテキサス・インスツルメンツ(TXN)といった主要企業が、いずれもアナリストの予想を下回る決算を発表しました。

特に、NXPセミコンダクターズは、2025年第1四半期の売上が前年同期比で10%減少するとの見通しを示しました。STマイクロエレクトロニクスも、通年の業績見通しを控え、四半期ごとの見通しを発表するにとどめました。これらの企業は、産業用および自動車向けの顧客の回復が遅れていることを理由に挙げています。

また、テキサス・インスツルメンツも投資家の期待を裏切る形となり、同社の株価は約5年ぶりの大幅下落となりました。製造コストの上昇と需要の減少が影響し、同社は9四半期連続で売上減少を記録しています。

貿易戦争のリスクと半導体市場への影響

インフィニオンの最新の予測には、貿易戦争の影響は含まれていません。ドナルド・トランプ米大統領は、メキシコ、カナダ、中国に対して関税を課す可能性を示唆しており、これはインフィニオンにとって大きなリスク要因となるかもしれません。

関税が引き上げられると、インフィニオンの主要な市場である自動車や電子機器業界に悪影響を及ぼす可能性があります。電気自動車の価格が上昇し、販売が減少する可能性があるほか、中国の電子機器メーカーが在庫削減に動く可能性も指摘されています。

これについて、インフィニオンの最高財務責任者(CFO)であるスヴェン・シュナイダー氏は、2025年に向けて楽観的な見方を維持しています。「関税の大幅な引き上げは我々のガイダンスには含まれていない。自由貿易を諦めず、主張し続ける」とコメントしています。

半導体業界に影を落とす米中貿易摩擦

半導体業界は長年にわたって米中貿易摩擦の影響を受けてきました。米国は中国の技術開発を抑制するため、ハイテクチップや製造機械の輸出制限を強化しています。

さらに、中国政府は最近、米国が低価格チップをダンピング(不当に安い価格で販売)し、自国のチップメーカーに対して不当な補助金を出している疑惑について調査を開始しました。この動きが、米国の半導体企業にとって新たな障壁となる可能性があります。

電気自動車(EV)市場の成長が半導体業界にとっての希望

半導体業界にとって明るい話題となっているのが、中国の電気自動車(EV)市場の成長です。インフィニオンは、中国および台湾での売上が前年同期比で増加したと発表しています。

NXPセミコンダクターズのクルト・シーバースCEOも、同地域の成長を評価し、事業全体の縮小にもかかわらず、この地域は2024年に4%成長したと報告しました。「この自然な成長が続くと考えている」と述べており、今後も中国市場が半導体業界の成長を支える可能性があります。

一方で、STマイクロエレクトロニクスは中国のマイクロコントローラー市場でのシェアを一部失ったものの、依然として重要な市場と考えています。同社のジャン・マルク・シェリーCEOは、「最も急成長しているEV市場で競争するため、徹底的な戦略を展開している」と語っています。

まとめ:半導体業界は引き続き不安定ながら、希望の光も

半導体業界は、需要の低迷と供給過剰の影響を受け、多くの企業が苦境に立たされています。しかし、インフィニオン・テクノロジーズのように、中国市場でのシェア拡大を武器に成長の可能性を見せる企業もあります。

また、米中貿易摩擦や関税政策の動向は、今後の業界の成長に大きな影響を与える可能性があります。特に、電気自動車市場の成長が今後の半導体業界の回復を支えるかどうかが注目されています。

2025年も引き続き不安定な状況が続くと予想されますが、企業ごとの戦略次第では市場での勝ち組となる可能性があります。インフィニオンの動向が、業界全体にどのような影響を及ぼすのか、引き続き注目が集まります。

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