AMD株が急落!AIチップの売上ガイダンス撤回で投資家困惑

  • 2025年2月5日
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アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、2月4日に発表した決算報告において、AIチップの具体的な売上高や見通しを明確に示しませんでした。この決定は市場に不安を与え、投資家を悩ませる結果となりました。

時間外取引で株価が9%下落

AMDの株価は、決算発表後の時間外取引で9%下落しました。これは、一部のアナリストが予測していた通り、AI向けグラフィックスチップ「MI300ファミリー」の売上ガイダンスを提供しなかったことが影響しています。

決算発表後に行われたアナリストとの電話会議では、具体的なガイダンスの欠如について質問が飛びました。これに対し、リサ・スーCEOは、「データセンターとGPUビジネスの初年度であることは確かで、このビジネスは現在50億ドルを超える規模になっている」と発言しました。そして、2025年に向けたガイダンスについては「よりセグメント・レベルでの説明になる」と述べるにとどまりました。

売上予測を上方修正するも、ウォール街の予想を下回る

AMDは、前四半期にAIグラフィックスチップの2024年の売上ガイダンスを45億ドル超から50億ドル超へと引き上げました。しかし、今回発表された第4四半期決算では、AIグラフィックスチップを含むデータセンター事業全体の売上が39億ドルにとどまり、ウォール街の予想であった41億ドルを下回る結果となりました。

それでも、前年同期比69%の成長を記録し、2024年のデータセンター事業全体の売上は126億ドルに達しました。同社の幹部は、2025年にはデータセンター事業とAI GPUの売上がともに2桁の高い伸びを示すと説明しましたが、それ以上の具体的な数値は明らかにしませんでした。

2025年のAI事業の軌道は不透明

バーンスタイン・リサーチのアナリスト、ステイシー・ラスゴン氏は、先週の顧客向けメモの中で「2025年までのAIの成長軌道が確かな指針を裏付けるとは言えず、AMDはやや厳しい状況に置かれている」と指摘しました。

AMDは現在、次世代AI GPUへの移行を進めています。ラスゴン氏によると、AMDの次期AIチップ「MI325」と「MI350」は、エヌビディア(NVDA)の製品に匹敵する性能を持つ可能性があるものの、登場時期が遅れていることが懸念されます。しかし、スーCEOは4日の決算会見で、「MI350の発売を2025年後半ではなく、2025年半ばに早める」と述べました。

株価の急落と過度な期待の調整

AMDの株価は、2024年に約227ドルの高値をつけた後、投資家の過度な期待が修正される形で、過去1年で30%下落しています。一時は、AI GPUの売上だけで2024年に80億ドルに達するとの強気な予測を立てるアナリストもいましたが、今回の決算報告により、現実的な見方へと修正が進んでいます。

重要な業績指標を提示しない企業の例

ウォール街は、業績の重要な指標を突然非公開にする企業を好みません。注目すべき過去の例として、アップル(AAPL)が2018年に製品の販売台数の開示を中止したケースが挙げられます。当時、iPhoneの成長が鈍化し始めていた時期でした。

ただし、AMDはもともとAI GPUチップやその他の個別製品ラインの売上を詳細に開示していたわけではありません。しかし、昨年のAIブームの中で、AI関連売上を公表し始めた経緯があります。投資家の期待が高まる中で突然指標が取り下げられたことで、市場は混乱し、株価が下落する要因になったと指摘されています。

まとめ

AMDの決算発表は、AIチップ事業の売上に対する投資家の期待を大きく揺るがしました。AI GPUの市場競争が激化する中で、AMDはエヌビディアとの競争においてスピード感を持って新製品を投入する必要があります。市場の信頼を回復するためには、より具体的な売上ガイダンスを提示し、透明性を確保することが求められています。

*過去記事はこちら  AMD

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