テクノロジー業界では2月4日、再び人工知能(AI)ブームが訪れています。データ分析企業であるパランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価は、4日の米国市場の午後1時過ぎの段階で22%高の102.17ドルで取引されています。同社は、低コストのAIがビジネスを加速させる可能性について明るい見通しを示しており、これは他のソフトウェア企業にとっても好材料となると考えられます。
パランティアの幹部は、業績が市場予想を上回ったことを受け、同社のソフトウェアがAIエコシステムの中で重要な役割を果たす可能性が高まっていると述べました。これは、中国のディープシーク社が、最先端のAIモデルを従来のコストの数分の一で開発できることを明らかにしたことを受けたものです。
パランティアの戦略とAI市場の変化
パランティアの最高技術責任者(CTO)であるシャム・サンカル氏は、決算説明会で次のように述べています。
「DeepSeek-R1の最大の教訓のひとつは、モデルがコモディティ化していることです。確かに、クローズドソースとオープンソースの両方でモデルは進化していますが、どれも似たものになってきています。そして、推論にかかるコストは劇的に下がっています」
AIのモデルが急速に一般化する中、パランティアは独自のソフトウェアを強みとして、AIエコシステムの中で価値を提供する戦略を進めています。
*過去記事はこちら パランティア PLTR
AI市場の成長恩恵を受ける他の企業
この変化から恩恵を受ける可能性がある企業のひとつとして、クラウドベースのデータストレージ企業であるスノーフレーク(SNOW)が挙げられます。同社の株価は同日2.96%上昇しました。
また、競合のデータブリックスや、顧客関係管理(CRM)ソフトウェアを提供するセールスフォース(CRM)の株価も上昇しました。
UBSのアナリストであるカール・キーステッド氏は、パランティアの売上成長予測がAI市場全体に好影響を与えると指摘しました。
「パランティアは、2025年に米国で54%の商業売上成長を達成すると予測していますが、これはデータブリックスにとってもポジティブなシグナルです。当社の調査によると、パランティアとデータブリックスはAIの普及に最適なポジションを確保していると考えています」
スノーフレークのAI戦略
スノーフレークは昨年、独自の大規模言語モデル(LLM)を発表し、クラウドベースのデータウェアハウス企業としてAIアプリケーションに最適な選択肢であると主張しています。同社は、200万ドル以下の予算で3ヶ月以内にモデルをトレーニングしたと報告しています。
*過去記事はこちら スノーフレーク SNOW
セールスフォースのAIエージェント戦略
セールスフォースは、「AIエージェント」(エージェント型AI)の開発を積極的に進めているソフトウェア企業のひとつです。この技術は、企業の意思決定を支援し、顧客との対話を最適化するシステムとして期待されています。
BofA証券のアナリストであるブラッド・シルズ氏は、AIの計算コストが下がることで、AI対応製品の利益率が向上し、AIエージェントの普及が加速すると予測しています。
「コンピューティングコストの低下により、AI関連製品の販売コストも下がります。その結果、企業はコスト削減分を顧客に還元できるため、エージェント型AIの採用が加速する可能性があります」
さらに、セールスフォースはAI製品開発に重点を置くため、1,000人以上の従業員を削減する予定であると報じられています。
*過去記事「セールスフォース:AIエージェントが拓く未来の投資チャンス」
まとめ
AI市場は急速に進化し、企業の戦略も大きく変化しています。パランティアはAIソフトウェアの重要性を強調し、スノーフレークやデータブリックスも独自のAI技術を強化しています。
また、AIエージェントの導入が進むことで、セールスフォースのような企業も新たな成長機会を得ることになります。2025年は、AI関連企業にとって重要な転換点となる年となりそうです。