四半期決算を発表したパランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価が、同社の人工知能(AI)ソフトウェアの需要拡大を受けて急上昇しました。最高経営責任者(CEO)のアレックス・カープ氏が「手つかずの有機的成長」と表現したように、同社の事業は大きな成長の局面にあります。2025年の売上見通しがアナリスト予想を大幅に上回ったことを受け、市場はこの成長を好感しています。
2025年の売上は37億5000万ドルに到達へ
デンバーに本社を置くパランティアは、2025年の売上を約37億5000万ドル、調整後の営業利益を約15億6000万ドルと予想しています。この数値は、アナリストの予想(売上35億4000万ドル、営業利益13億7000万ドル)を上回るものです。
2024年の同社の株価は340%も上昇し、AI市場への期待が急速に高まっていることが背景にあります。商業および政府顧客の増加が、パランティアのデータ分析ソフトウェアの需要を押し上げています。
第4四半期の売上は予想を大幅に上回る
パランティアの2024年第4四半期の売上は、前年同期比36%増の8億2750万ドルとなりました。アナリストの平均予想(7億7590万ドル)を大きく上回る結果となり、利益も一部項目を除いた1株当たり14セントと、予想の11セントを超えました。
株価はニューヨーク市場で83.74ドルで取引を終えた後、決算発表後のアフターマーケットで20%以上上昇し103ドル近くで取引されています。この勢いは、同社の成長期待の高さを反映しています。
米国防総省との関係強化が売上を押し上げる
パランティアは米国防総省との関係を深めており、2024年第4四半期の米政府向け売上は45%増の3億4300万ドルに達しました。また、米国の商用売上も64%増の2億1400万ドルとなり、商用分野での成長も加速しています。
2025年の米国の商用売上は約54%増の10億8000万ドルに達すると同社は予測しています。この成長は、AI技術の進化と企業のデータ活用ニーズの拡大によるものです。
カープCEOが語る「新たな段階」とは?
カープCEOは株主への手紙の中で、パランティアが「新たな段階」に入ったと述べました。特に、米国の利益に貢献する企業としての役割を強調し、「技術的自己満足」に陥ることなく、成長し続ける必要があると警鐘を鳴らしました。
また、同社の技術は現在、米軍のすべての軍事部門、およびウクライナやイスラエルの同盟国で活用されています。最近では、米陸軍との契約を2028年まで6億1900万ドルに拡大し、米特殊作戦司令部とのAI業務も拡大しています。
防衛テック企業としての進化と新たな提携
シリコンバレーの防衛テクノロジー企業として、パランティアは他のテクノロジー企業との協力関係を拡大しています。武器メーカーのアンドゥリル・インダストリーズとの既存のパートナーシップを強化し、AIスタートアップのアンソロピックとも新たな関係を築きました。この提携により、大規模言語モデルを米国の諜報・防衛活動に導入しています。
これらの動きは、パランティア幹部が描く「ソフトウェア・ファーストの新しい防衛エコシステム」の始まりを象徴しています。従来の防衛企業とは異なり、データ駆動型のアプローチが米国の国防戦略において重要な役割を果たしつつあります。
トランプ政権とパランティア株への影響
2024年の米大統領選でドナルド・トランプ氏が再選されたことにより、投資家はパランティア株に対する期待を一段と高めています。同社は、米国の防衛と製造業の強化にコミットしており、最高技術責任者(CTO)のシャム・サンカー氏は、アメリカの産業基盤を復活させる青写真を発表しました。
カープCEOは、政治学者サミュエル・ハンチントン氏の言葉を引用し、「西洋の台頭は思想や価値観の優越性ではなく、組織化された暴力の適用における優越性によって可能になった」と述べています。この発言からも、パランティアが防衛テクノロジー企業としての役割を強く認識していることが伺えます。
株主への報酬と今後の見通し
2024年、パランティアは従業員4,000人以上に対し、1株17ドルで新株予約権を発行しました。株価が70ドルを超えたことで、第4四半期には1億3200万ドルの関連費用が発生しましたが、これは従業員への報酬の一環として適用されました。
パランティアは今後も、AIとデータ分析技術を活用し、政府および商業市場の双方での成長を目指しています。同社の売上成長は、国防分野だけでなく、民間企業のデジタル変革においても重要な役割を果たすことが期待されています。
まとめ
パランティア・テクノロジーズは、AIソフトウェアの需要拡大により、2025年の売上を大幅に伸ばす見通しです。米国政府との関係強化や商用市場の成長が追い風となり、株価は過去最高を記録しました。
同社は、AIとデータ分析を駆使した新たな防衛テクノロジー企業としての地位を確立しつつあります。今後も、米政府および企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を支援しながら、さらなる成長を遂げることが期待されています。
パランティアの成長が、今後のAI市場にどのような影響を与えるのか、引き続き注目されます。
*過去記事はこちら パランティア PLTR