エヌビディア(NVDA)の株価は2月3日の米国市場で下落しました。投資家たちは、関税が半導体企業に与える影響を懸念するとともに、ディープシークの進展が市場にどのような影響を及ぼすのかを引き続き評価しています。
エヌビディアの株価は2.8%下落し、PHLX半導体指数の中で最もパフォーマンスが悪い銘柄の一つとなりました。ドナルド・トランプ大統領がメキシコへの関税を1か月間保留することで合意したと発言したことで、一時的に下げ幅を縮小しました。また、カナダへの関税を延期することもその後発表されました。しかし、中国からの輸入品には引き続き10%の関税が課されています。
半導体セクターへの関税の影響
投資家は、関税が半導体業界にどのような影響を与えるのかについて懸念を抱いています。アナリストは「複雑な問題」と指摘しており、明確な結論を出すのは難しい状況です。
バーンスタインのアナリスト、ステイシー・ラスゴン氏によると、2023年に米国が輸入した半導体の総額は約730億ドルでしたが、そのうち中国、メキシコ、カナダからの輸入額はわずか70億ドル程度にとどまりました。そのため、関税による直接的な影響は限定的であると考えられます。
しかし、半導体を使用する電子機器が他の主要な輸入品目に含まれているため、間接的な影響は無視できません。ラスゴン氏は、「米国が世界から輸入する製品の中で、最も多いのは電気機器、機械、自動車の3つのカテゴリーであり、それらは大量の半導体を含んでいる可能性が高い」と指摘しています。これらの最終製品は、中国、メキシコ、カナダとの貿易関係が特に深いため、関税の影響が広がる可能性があります。
エヌビディアのサプライチェーンとメキシコの関係
エヌビディアに関して、ラスゴン氏は昨年ロイターが報じた情報を引用し、フォックスコンがエヌビディアのGB200チップを搭載する大規模なメキシコ工場を建設する計画を進めていることに言及しました。
また、米国は中国から390億ドル相当のサーバーやコンピュータなどのデータ処理機器を輸入しており、メキシコからも280億ドル相当を輸入しています。そのため、半導体だけでなく、幅広い製品に関税の影響が及ぶ可能性があります。ラスゴン氏は、「半導体だけでなく、電気機器や機械、車両の輸入額はさらに大きいため、間接的な影響が広範囲に広がる可能性がある」と述べています。
関税の影響は一時的か?投資家の戦略
ウェドブッシュのアナリスト、ダニエル・アイブス氏は、今回の関税について「脅しに近い」との見解を示しました。同氏は投資家に対し、影響を受けた銘柄が値下がりしたタイミングで購入を検討するようアドバイスしています。
アイブス氏は、「エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、TSMC(TSM)などは、中国政府からの報復措置の対象となる可能性があるが、短期的なサプライチェーンの混乱は限定的であると考えている」と述べました。
ディープシークの影響とエヌビディアの将来
エヌビディアの株価は、ディープシークの人工知能(AI)技術の進歩や、それがチップ市場に与える影響についての議論にも左右されています。メリウス・リサーチのアナリスト、ベン・ライツェス氏は、市場の動向を分析しながら慎重な見解を示しました。
ライツェス氏は「ディープシークがデモを行った安価なAIモデルと技術は、最終的にAIの普及を加速させる可能性がある」との見方を示しました。しかし、エヌビディアの株価は依然として不安定な状況が続いています。
また、「市場は、今後の投資判断を下す前に、どの程度の支出が適切かを慎重に見極めようとしているため、株価はさらに変動する可能性がある」と述べました。
まとめ
エヌビディアの株価は関税の影響やAI技術の進展に対する市場の反応を受け、短期的には不安定な状況が続いています。関税の直接的な影響は限定的であるものの、半導体を含む最終製品の輸入に与える間接的な影響は大きい可能性があります。
投資家は、関税の影響が一時的であるかどうかを見極めるとともに、AI市場の成長がエヌビディアに与える影響についても慎重に分析する必要があります。市場の変動を利用し、適切なタイミングで投資を検討することが重要です。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA