アマゾンとアルファベットの決算発表直前!ディープシークがもたらすリスクとチャンス

中国を拠点とするAI開発企業のディープシークが、ChatGPTのようなプラットフォームと競争できる低コスト・低エネルギーの人工知能を発表し、市場に衝撃を与えました。これにより、米国の大手テクノロジー企業がこれまでAIに投じてきた巨額の投資が本当に有効なのかという疑問が生じています。

AI投資に対するウォール街の視線

先週の決算説明会では、一部のハイテク企業幹部が大規模な設備投資計画を維持する意向を示しました。しかし、ウォール街のアナリストたちは、今週四半期決算を発表するアルファベット(GOOGL)アマゾン・ドット・コム(AMZN)の反応を注視しています。

テクノロジー専門調査会社Futurum Groupの最高経営責任者(CEO)であり、マーケットウォッチの寄稿者でもあるダニエル・ニューマン氏は、「設備投資に関する兆候をしっかりと見極める」と述べています。市場は、ディープシークの登場によって、AI関連の設備投資の動向が変化するかどうかに注目しているのです。

アマゾンとアルファベットの決算発表

アルファベットの決算発表は2月4日、アマゾンの決算発表は6日に予定されています。投資家は、先週のマイクロソフトのクラウド事業の成長鈍化を受け、アルファベットの売上への影響を懸念しています。

アマゾンは、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)のクラウドコンピューティング部門が売上を大きく押し上げています。また、低コストのAIチップや衛星ベースのブロードバンドネットワークの開発を進めているものの、ウェドブッシュ証券のアナリストであるダニエル・アイブズ氏は、アマゾンの衛星事業に関する「不確実なコスト」や、AI開発による「コスト増加」に言及しました。

一方、アルファベットについては、グーグルとYouTubeのデジタル広告需要が引き続き好調であるものの、最近の為替の逆風や競争激化により、短期的には広告売上が市場予想を上回るのが難しいとの見方を示しました。

ディープシークのAI技術は本当に脅威となるのか?

ディープシークがエヌビディア(NVDA)のチップを大手ハイテク企業よりもはるかに少ない数を使用しながら、ChatGPTのようなAIを実行できると主張しているものの、市場ではこれを完全に信用しているわけではありません。また、中国の厳格な検閲プロトコルがディープシークの技術の採用にどのような影響を与えるかも不透明です。

それでも、ディープシークの登場は、AIに必要なチップやデータセンター、投資コストに関する既存の市場の見方を変える可能性があり、米中の競争に新たな要素を加えることになります。ウォール街のアナリストは、AI開発にかかるコストと、それに見合った利益を回収できる時期に注目し始めています。

マイクロソフトとメタの対応

マイクロソフト(MSFT)は、ChatGPTを開発するオープンAIに140億ドル近くを投資しており、先週はオープンソースAIモデル「DeepSeek R1」をAzure AI FoundryおよびGitHubで公開しました。CEOのサティア・ナデラ氏は、「低コストAIの普及は顧客にとって有益であり、新たなアプリの開発と消費を促進する」と述べました。また、ディープシークの技術に「真のイノベーションがある」とも評価しています。

また、アップル(AAPL)のティム・クックCEOは、「効率性を向上させる技術革新は歓迎すべきだ」と述べ、ディープシークの技術がシリコンとソフトウェアの統合をさらに進化させる可能性に期待を示しました。

メタ・プラットフォームズ(META)のマーク・ザッカーバーグCEOも、ディープシークの技術を分析中であり、一部の技術を自社のシステムに組み込みたいとの意向を示しました。ただし、「これが支出やインフラにどのような影響を与えるかを判断するにはまだ時間が必要だ」と慎重な姿勢を崩していません。

AI投資の今後の行方

ディープシークの登場により、AI市場の競争はさらに激化すると考えられます。マイクロソフトやメタのように、多額のAI関連支出を継続する企業がある一方で、ディープシークの技術がハードウェアのコスト削減につながる可能性もあります。

ニューマン氏は、「AIの発展には依然として多くの資金と計算能力が必要だが、ディープシークは業界全体に対し、自己満足や遅れた対応のリスクを警告している」と述べました。AI技術の進化は、今後も世界の経済や企業戦略に大きな影響を与えることになりそうです。

今後、アマゾンやアルファベットが決算発表でどのようなコメントをするのか、また、ディープシークの技術がどこまで市場に浸透するのか、注目が集まっています。

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