株価下落でも成長は続く?イートンがデータセンター市場で勝ち続ける理由

  • 2025年2月1日
  • 2025年2月1日
  • BS余話

電気機器サプライヤーであるイートン(ETN)は、人工知能(AI)市場の拡大による恩恵を受けており、AIの低価格化が進む中でも売上を伸ばし続けることができると述べています。

イートンの2024年第4四半期の業績

イートンは1月31日、2024年第4四半期の1株当たり利益(EPS)を2.83ドルと発表しました。これは、ウォール街のコンセンサス予想である2.81ドルをわずかに上回る結果となりました。

また、2025年第1四半期の利益については2.70ドル前後になると予測しており、ウォール街の予測と一致しています。通年のEPSは12ドル前後と予想され、これは2024年の10.80ドルと比較して11%の増加にあたります。

株価の変動と市場の反応

イートンの株価は、取引開始直後に3.7%下落し、314.98ドルとなりましたが、その後持ち直し、株価はプラス圏内に上昇し、午後2時の段階では0.31%高の328.13ドルで取引されています。ただ、この5日間では約11%の下落率を記録しています。

この下落の背景には、中国のAIアプリ「ディープシーク」が、米国のAIアプリと比較して低コストで開発されたというニュースの影響があります。このニュースが広がったことで、27日には16%近くの下落を記録しました。

AIの低価格化とデータセンター市場への影響

AIの低価格化が進むことで、マイクロソフト(MSFT)やメタ・プラットフォームズ(META)などの企業のデータセンターへの支出が減少する可能性があると考えられています。これにより、イートンを含む電気部品サプライヤーの売上にも影響が出る可能性があります。

しかしながら、AIのコストが低下することで、より多くの企業がAI技術を導入し、新しいAIアプリケーションが増加することが期待されています。具体的には、AIデータセンターの需要が増え、AIを活用したロボットや自動運転車の導入が進むことで、さらに多くの電力が必要になると予想されます。

イートンのCEOであるクレイグ・アーノルド氏は、「データセンター市場が減速するという考えは、現在のデータとは一致しない」と述べています。また、「イノベーションは成長にとって良いものである」とも語りました。

メガプロジェクトの進捗と今後の見通し

イートンが「メガプロジェクト」と定義する10億ドル以上の建設プロジェクトの未処理案件は、2024年末時点で1兆9000億ドルに達しました。これは2024年から33%の増加を意味しています。

ただし、プロジェクトの開始率は15%にとどまっており、イートンは2025年にこれまでで最も多くのプロジェクトが開始されると見込んでいます。また、キャンセル率は注目すべき点ではあるものの、新規受注の水準を下回っているため、全体的な影響は限定的であると考えられます。

現在の建設ペースでは、既存のバックログを処理するのに約7年かかるとされており、長期的な成長の確実性を示唆しています。これにより、データセンター市場は今後も年間2桁成長を維持すると予測されています。

まとめ

イートンは、AI市場の成長に伴い、電気機器サプライヤーとしての強みを活かしながら売上の拡大を図っています。AIの低価格化が一時的に市場の不安要因となることはあるものの、長期的にはデータセンター需要の増加やメガプロジェクトの進行が、同社の成長を支える要因になると予想されています。

*過去記事「注目のデータセンター株3選!AI革命で期待が高まる企業とは?

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