テスラの決算が市場予想を下回る中、ロボタク事業は救世主となるのか?

米国の電気自動車(EV)メーカーであるテスラ(TSLA)は、ロボットタクシー事業の立ち上げを本格化させています。最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は、完全自動運転の車両を用いた有料サービスを、2025年6月にテキサス州オースティンで開始する予定であると発表しました。

この発表は、テスラが最新の四半期決算で市場予想を下回る売上を報告した直後に行われました。投資家の間では、同社の主力事業の業績低迷を懸念する声がある一方で、新たな成長分野への期待も高まっています。

第4四半期決算と投資家の反応

第4四半期の調整後利益は1株あたり73セントとなり、アナリスト予想の77セントを下回りました。売上高は前年から2%増の257億ドルでしたが、コンセンサス予想の273億ドルには届きませんでした。自動車部門の粗利益率は16.6%と、第3四半期の20.1%から低下しています。

しかし、決算発表翌日の30日の市場で株価は上昇し、終値は2.87%高の400.28ドルでした。

JPモルガン証券のアナリスト、ライアン・ブリンクマン氏は、テスラの株価について「同社の直近の業績や来年の成長見通しとは関係がなく、ファンダメンタルズ(企業の基本的な経営状況)から大きく乖離しているように見える」と指摘しています。

テスラの株価は過去1年間で113%と大幅に上昇しており、投資家が同社の財務実績よりもマスク氏のリーダーシップや将来の成長期待を重視していることが浮き彫りになっています。

テスラの政治的影響と規制リスク

マスク氏は政治的な発言も多く、2024年の米国大統領選ではドナルド・トランプ氏に対する献金額がトップとなりました。この影響もあり、テスラが今後の政策変更から利益を得る可能性があると市場では見られています。

しかし、テスラの最高財務責任者(CFO)であるヴァイバブ・タネジャ氏は、トランプ政権が関税を導入した場合、テスラの事業と収益性に影響を及ぼす可能性があると警告しました。特に、電気自動車に対する税額控除の廃止や排ガス規制の緩和が行われると、テスラの収益構造が変化するリスクがあります。

ロボットタクシー事業の課題と展望

テスラが計画するロボットタクシー事業は、自動運転技術を活用した新たなモビリティサービスとして注目されています。しかし、技術的・規制的な課題が多く残されているのが現状です。

テスラはこれまで「完全自動運転(FSD)」と呼ばれるシステムを販売してきましたが、現時点ではドライバーの監視が必要です。マスク氏は、2025年中に米国の「多くの地域」で無人運転のFSDを展開すると発表しましたが、その実現には規制当局の承認が必要となります。

特に、テスラが2026年に生産開始を予定している「サイバーキャブ」は、ハンドルやペダルを持たない設計となっており、現在の米国の安全基準では公道を走行するために特例措置が必要です。現行の規制では、このような車両は年間2,500台までしか認可されていません。

また、各州の規制も異なり、カリフォルニア州では無人運転の試験には特別な許可が必要です。テスラは現在、運転手付きの試験走行の許可を取得していますが、無人運転に関する承認は未取得の状態です。

テスラの売上減少と新型EVの必要性

テスラの売上は2024年後半から低迷しており、10年以上ぶりに年間販売台数の減少が懸念されています。このため、新しいモデルの投入が急務となっています。

しかし、マスク氏とテスラの経営陣は、2025年前半に発売予定とされている手頃な価格の新型EVについての詳細を明らかにしていません。テスラはこれまで、高価格帯のモデルで収益を確保してきましたが、競争が激化するEV市場では、より低価格のモデルが求められています。

まとめ:テスラの今後の展開

テスラはロボットタクシー事業や自動運転技術の開発に注力する一方で、規制や政治リスクといった課題にも直面しています。また、売上の減少を食い止めるためには、新型EVの投入が不可欠です。

投資家にとっては、テスラの成長戦略が実現可能かどうかを慎重に見極める必要があります。2025年の市場環境では、自動運転技術の進展と規制の変化が、テスラの株価に大きな影響を与える要因となりそうです。

*過去記事はこちら テスラ TSLA

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