マイクロソフトの最新決算:市場予想を上回るも、クラウド事業での失望が株価を下落させる

マイクロソフト(MSFT)は、1月29日の市場終了後に2025年度第2四半期決算を発表しました。売上と1株当たり利益(EPS)は市場予想を上回りましたが、インテリジェント・クラウド事業の売上が市場予想を下回ったため、 アフターマーケットで株価は5%以上下落しています。

クラウド事業の売上が市場予想を下回る

マイクロソフトのコマーシャル・クラウド部門の売上は400億ドルとなり、前年同期比21%の増加を記録しました。しかし、ウォール街の予想である411億ドルには届きませんでした。また、Azureプラットフォームを含むインテリジェント・クラウド事業の売上は255億ドルとなり、市場予想の258億ドルを下回りました。

マイクロソフトによると、Azureの成長率はAIサービスの影響で13%ポイント押し上げられたとされています。しかし、クラウドの売上総利益率は人工知能(AI)への投資により70%に低下しました。

サティア・ナデラCEOのコメント

マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は、「当社は技術スタック全体でイノベーションを進め、顧客がAIから投資利益(ROI)を最大限に引き出せるよう支援している」と述べました。

しかし、決算説明会では、次四半期のインテリジェント・クラウド事業の売上が259億ドル〜262億ドルの間になると予想し、これが投資家の不安を招き、株価の下落につながりました。

マイクロソフトのAI投資と中国企業の台頭

今回の決算発表は、ウォール街がAI業界とシリコンバレーのハイテク企業に与える影響を評価し続けている中で行われました。マイクロソフトを含む大手ハイテク企業は、AIデータセンターに数百億ドル規模の投資を行っています。マイクロソフトは2025年度だけで800億ドルを投資する計画です。

一方で、中国のディープシーク社がマイクロソフトが支援するオープンAIやアルファベット、メタなどのアメリカ企業のAIチップよりも低消費電力かつ低コストでAIモデルの学習を行ったと発表しました。このニュースはハイテク業界に大きな衝撃を与え、投資家の間でシリコンバレーの投資戦略が正しいのか疑問視する声が高まっています。

2025年度第2四半期の業績概要

マイクロソフトは当四半期、売上696億ドル、1株当たり利益(EPS)3.23ドルを報告しました。ブルームバーグのコンセンサス・データによると、市場予想は売上688億ドル、EPS3.13ドルでした。前年同期は売上620億ドル、EPS2.93ドルだったため、業績は確実に成長を続けています。

株価の動向:競合他社に遅れを取るマイクロソフト

AIブームの主要な受益者の一つであるマイクロソフトですが、株価は競合他社と比べると伸び悩んでいます。1月29日の時点で、マイクロソフトの株価は過去1年で11%の上昇にとどまっています。一方、アマゾン(AMZN)の株価は53%、アルファベット(GOOGL)の株価は39%の上昇を記録しました。

マイクロソフトのAI PC戦略と課題

マイクロソフトは、Copilot+ PCのラインナップを通じてPC販売の拡大を狙っています。これは、クラウド経由ではなく、ネイティブでAIアプリケーションを実行できるPCを提供するものです。しかし、現時点では消費者が新しいPCにアップグレードしたくなるような魅力的なシナリオが不足していると指摘されています。

消費者が新しいPCを購入する主な理由は、性能やパワーの向上によるものです。そのため、AI PCの普及にはさらなる機能の充実や市場の理解が必要とされています。

まとめ:クラウド事業の成長鈍化が懸念材料に

マイクロソフトの決算は、全体としては市場予想を上回るものでしたが、クラウド事業の成長鈍化が投資家の懸念材料となりました。AI関連の投資を加速させる一方で、競争の激化によるコスト増加も見られます。今後、マイクロソフトがどのように成長戦略を進めるかが注目されます。

*過去記事 マイクロソフト MSFT

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG